怒涛の24000冊!新デートスポット文京区「東洋文庫ミュージアム」
東洋学専門の図書館である東洋文庫は、世界5指の東洋学センターです。
そして、その蔵書・資料を展示しているのが、『東洋文庫ミュージアム』で、その展示品は、国宝や重要文化財を始め世界的にも貴重な蔵書です。
そして、それ以上に話題になっているのが展示の演出で、ここを訪れた方は驚きと感動の連続です。
今回は、この東洋文庫ミュージアムの知られざる魅力をお伝えします。
オリエントホール
エントランスでは、古代エジプト期の世界最高の学問の殿堂ムセイオンをイメージした『ムセイオンの泉』が出迎え、ミュージアムは、『オリエントホール』から始まります。
三国志、水滸伝といったお馴染みの書籍から、コロンブスの書簡、キャプテンクックの航海日誌など貴重な古書が納められている国内最長の展示ケースなどに圧倒され、拓本や絵図の巨大な原寸大レプリカに目を見張ります。
東洋文庫と云いながらも洋書が多いのは、当時の東洋のことは西洋の書籍に多く書かれているためです。
心の準備をして“時空の本の旅”に出かけます。
モリソン書庫
オリエントホールの2階が、ミュージアム最大の見どころである『モリソン書庫』で、見る者を圧倒する書庫には、約24,000点の書籍が納められています。
この蔵書は、東洋文庫の創設者で三菱財閥の岩崎弥太郎の長男・久彌が、オーストラリア人G.E.モリソン博士から、東アジアに関するヨーロッパの書籍や絵画などを購入したもの。
触れることはできませんが近くで見ることは可能で、一部は本の内容を展示しているものもあるので、ここでも貴重な古書をじっくり見ることができます。
日本最大級の書棚で、しばし時を忘れる空間です。
岩崎文庫
岩崎久彌のコレクションを展示した『岩崎文庫』は、普段目に出来ない綺羅星のような蔵書が見られます。
国宝“古文尚書”、重要文化財“ジョン・セーリス日本航海記”などの文化財を始めとして、“死者の書”といった貴重な書籍まであります。また、各国の翻訳書を集めた“東方見聞録”の世界に誇れるコレクションも必見です。
更に驚愕するのは、実際の古書にデジタル技術で解説する「エンカウンタビジョン」で、その技術にも驚きますが、その古書が“解体新書の原本”と“ターヘル・アナトミアの実物”ですから開いた口がふさがりません。
名前だけは知っていた書籍が、目白押しです。
回顧の路
ユニークな展示スペースが『回顧の路』と呼ばれている通路で、展示物を保護するため、照明を極限まで落としている空間を逆手に取った工夫。
その工夫とは、“クレバス・エフェクト”と呼ばれる演出で、通路の途中三か所に、奈落の底に落ちるような錯覚を覚えさせる仕掛けがあり、分かっていてもその上を歩くのがためらわれます。
展示品は、“色絵五艘船文鉢”や“オランダインド会社コイン”など僅かですが、この演出に挑戦してみてください。
ここまで凝った展示は、他ではそう見られません。
オリエント・カフェ
ミュージアムの裏手にある『オリエントカフェ』は、日本鉄道会社副社長・小野義眞、三菱財閥・岩崎彌之助、そして鉄道の父・井上勝の頭文字をとった岩崎家所縁の“小岩井農場”の運営するカフェ・レストラン。
そのオリエントカフェとミュージアムをつなぐ小路が『知恵の小径』で、アジア各地の名言が言語で書かれたパネルが並んでおり見たこともない言語に出会えます。
そしてミュージアムと知恵の小径、オリエントカフェに囲まれた中庭が『シーボルト・ガルテン』で、所蔵する最も著名なシーボルトの“日本植物誌”に掲載されている実物の木々や花が植栽されています。
疲れた頭を休めに、カフェや中庭で一休みしましょう。
最後に…
名称からの印象では、硬いイメージがあると思いますが、実は非常に身近であることがお判りになるでしょう。
文中にもあった通り、展示物保護の為の照明の低減のほかに、展示は1ヶ月に1回のローテーションとなっているので、5件の国宝を見るだけでも5カ月かかるのですが、それもリピートでいける楽しさもあるのです。
まさに「本の博物館」ともいえるミュージアムに、是非、一度足を運ばれてみてください。
東洋文庫ミュージアム http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/museum_index.php
2015年9月10日