まるでフタコブラクダ!?大阪・奈良の二上山は晩秋が見頃
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かつては日本の中心地だった”二つの飛鳥”
大阪府南東部の太子町と、県境を挟んだ奈良県北西部の葛城市との間に二上山(にじょうざん)がそびえています。二つの上の山、即ち山頂が二つある山です。その姿はまるでフタコブラクダのようです。
飛鳥時代、二上山の周辺は日本の中心地でした。河内(大阪)側には近つ飛鳥、やや離れてますが大和(奈良)側には遠つ飛鳥があり、この二つの飛鳥が首都機能を果たしていたのです。
二上山の南側には竹内(たけのうち)街道が通っています。現在は国道166号線となっているこの街道、実は日本最古の官道なのです。竹内街道こそ、二つの飛鳥を結ぶ日本の大動脈でした。
河内(大阪)側の竹内街道(太子町)
大和(奈良)からは”日没の山”
では、実際に二上山へ行ってみましょう。まずは奈良側からです。
近鉄南大阪線の大阪阿部野橋駅から橿原神宮前方面行きの準急に乗り、約35分で二上山駅に着きます。あるいは次の二上神社口駅で降りても構いません。
奈良側から二上山を見ると、右側つまり北側が標高の高い雄岳(517m)、左の南側が標高の低い雌岳(474m)となります。さほど高くないので、手軽な登山コースとして人気があります。
二上山は男女一対をなす山として、古代から崇め奉られていました。二上山は現在でこそ前述したように「にじょうざん」と読みますが、かつては「ふたかみやま」と呼ばれていたのです。即ち二つの神が宿っている、という意味です。
大和(奈良)側から見ると二上山は西にあるので「日没の山」あるいは「天の二上(あめのふたかみ)」と呼ばれていました。古代の人にとって、二上山は神秘的に見えたのでしょう。
奈良から見た「日没の山」二上山。左が雌岳、右が雄岳
河内(大阪)からは”日の出の山”
続いて、大阪側から二上山を見てみましょう。奈良側へ行く場合と同じ電車に乗り、二上山駅より一つ手前の上ノ太子駅で下車します。ただし、二上山駅からに比べて、二上山へはやや遠くなります。
奈良側から見た二上山が西側にあるということは、大阪側から見ると東側になるということです。つまり、大和(奈良)側とは逆に、河内(大阪)側からは、二上山は「日の出の山」と呼ばれていました。
もちろん、雄岳と雌岳の位置も奈良側とは左右逆になります。つまり左に雄岳、右に雌岳ということですね。同じ山なのに、大和と河内では全く違う山に見えます。筆者は大阪出身なので、奈良側から見た二上山は奇異に感じます。
なお、二上山は死火山です。約2000万年前に噴火して、現在のような形になったと考えられています。ちなみに現在では噴火口がないので、噴火する可能性はなく、地図記号でも火山とは記されていません。
大阪から見た「日の出の山」二上山。奈良側とは逆に左が雄岳、右が雌岳
見事な景観!屯鶴峯
二上山の北側には、屯鶴峯という標高154mの低い岩山があります。屯鶴峯は「どんづるぼう」と読み、低いにもかかわらず有名な山となっています。
それは奇勝・屯鶴峯の珍しい景観のせいです。二上山の火山活動により、白い凝灰岩が山肌に露出し、サヌカイト(讃岐岩)や金剛砂が発掘されました。その姿はまるで雪山のようです。
古代人はサヌカイトを加工し、様々な用具を造りました。いわばこの辺りは、当時の日本にとって一大工業地帯だったのです。
場所は奈良県香芝市、上ノ太子駅と二上山駅のちょうど中間にあります。二上山と共に、行ってみたい山ですね。
白い凝灰岩が剥き出しになり、まるで雪山に見える屯鶴峯
晩秋はぜひ二上山へ!
二上山は晩秋が見頃です。美しい紅葉が陽光を浴びる姿は幻想的です。
たとえば行きは、大阪側から朝日が昇る二上山を見て、二上山に登り、奈良側に下山すると夕日に映える二上山を拝むことができます。もちろん、屯鶴峯をコースに組み入れてもいいでしょう。
上ノ太子駅→屯鶴峯→二上山→二上神社口駅というコースも考えられます。あるいは、泊りがけで行くなら大阪側にある太子温泉を拠点にするのも一法です。
それでは、二上山の晩秋を満喫してください!
奈良側から見た、紅葉が色付いた二上山の晩秋
2016年11月2日