野麦峠からマル秘温泉の塩沢温泉へ
日本各地には人里から離れた秘湯と呼ばれる隠し湯が点在しています。宿がありしっかりと手入れされた温泉もあれば、地元の人が管理する温泉、野湯の温泉など様々。
今回は、秘湯・野湯をめぐる旅として、岐阜県から長野県にまたがる新穂高温泉から乗鞍高原温泉、野麦峠を通って秘密の塩沢温泉を巡ってみます。
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蒲田川の直ぐ隣に湧く新穂高温泉
新穂高温泉は、岐阜県奥飛騨温泉郷の中でも一番奥にある温泉で、岐阜県側からの北アルプス登山の入り口もなっています。現在は、新穂高ロープーウェが通年開業していますので、2200メートルの穂高口までは観光気分で北アルプスの大パノラマを堪能できます。
新穂高温泉は、かつては登山者の憩いの場であり、下山した人の疲れを癒した場所でもありました。
新穂高温泉には、観光地にあるような巨大ホテルはありませんが、旅館や民宿を中心に20軒あまりの宿が点在しています。
その中でも有名なのが、共同露天風呂の新穂高の湯です。新穂高の湯は、旅行番組や旅行雑誌に必ずといってよいほど紹介される温泉なので、利用客も多く秘湯なのですが混雑する秘湯になっています。
乗鞍岳を仰ぎ観ながら乗鞍高原温泉へ
奥飛騨温泉郷から乗鞍高原へは、かつては難所国道で名高かった安房峠を通らないといけませんでしたが、それも今は昔の事で安房トンネルの開通により10分あまりで上高地の入り口になる蒲トンネルのところに出ることができます。
乗鞍高原温泉は、乗鞍岳の麓にある温泉で、一度日帰り温泉施設を紹介しました。
今回は、同じ源泉を引く無料の入浴施設を紹介します。
乗鞍岳を仰ぎ観ながら、乗鞍高原を目指しますが、どんどん標高が増していきます。
今回の写真は、夏に撮ったものなので雪はありませんが、冬になると3メートル以上の積雪となりますので、車の運転に自信のある人でないとあまり勧められません。
無料の温泉「せせらぎの湯」
前に紹介した日帰り温泉施設の「ゆけむり館」から300メートルほど下った茂みの中に今回お目当てのせせらぎの湯があります。
以前は、小屋もない混浴の野湯でしたが、現在は立派な小屋と脱衣所、男女別の湯船を備えた温泉になっています。
せせらぎの湯は乗鞍高原旅館組合の方が共同で管理しており、入浴料は無料となっています。
温泉は、ゆけむり館と同じ乗鞍高原温泉が引かれ、pH3.0の強酸性硫化水素泉がかけ流しで注ぎ込まれている超贅沢な温泉なのです。本当にこれが無料と言うのは申し訳ない気がします。
ただし、せせらぎの湯には湯船のみで水道はありませんので、硫化水素の臭いが体に染み込んでしまいますが、これも何とも言えない温泉に入った満足感に満たされるでしょう。
全長30キロに及ぶワインディングが続く野麦峠
乗鞍高原をあとにして、塩沢温泉を目指します。
塩沢温泉へは、2時間かけて一旦高山まで引き返して国道で行くか、野麦峠を通っていくしかありません。
せっかくなので、小説「あぁ野麦峠」でも有名になった野麦峠を通っていくことにします。
かつては、飛騨地方の女性が松本にある製糸工場に出稼ぎに行くときに通った道ですが、今でこそ舗装された道路ですが、その昔は獣道程度の極難所であったにちがいありません。
とは言っても、すれ違うのもままならないほど狭い道路で、しかもヘガードレールの無い!!アピンカーブの連続なので全く気を抜くことができません。
マル秘温泉の塩沢温泉へ
ようやく野麦峠の終点が見えて、国道にでると塩沢温泉の看板が見えてきます。
マル秘温泉なのに案内看板まであるのと思う人もあるかと思います。
看板にある塩沢温泉は、現在開業している温泉宿のことで、源泉はこれから向かう塩沢温泉から引き湯しているそうです。
国道の途中に無印キャンプ場に向かう道が現れますので、こちらに進路を変えて再びワインデングロードを登っていきます。
その途中に川にそれる細い道が現れたら、そこが塩沢温泉なのです。
塩沢温泉のみが残って
昔、塩沢温泉の源泉近くに山小屋がありましたが、廃業し小屋は撤去されましたが露天風呂だけは源泉が注ぎ込まれて残るかたちとなりました。
現在は、地元の有志の方たちが毎日手入れをしてくださっており、野湯なのですが、藻やごみもなく綺麗な温泉になっています。
源泉温度は、38度程度なので夏場しかお勧めできません。
小屋は撤去されていますので、脱衣所はありませんので、袋を持っていくことをお勧めします。
また、春や秋になると熊さんが出没するようなので、熊さん避けの鈴を持っていったほうがよいでしょう。
おわりに
共同の温泉は、地元の方々が手入れをして管理していることがほとんどです。今回紹介した温泉のように、観光客にも楽しんでもらおうと入浴をオープンにしてもらっています。
温泉の恵みと地元の方々に感謝して利用するようにしなければなりません。
2016年2月2日