陽は舞いおどる甲子園!球春沸騰、春はセンバツから
甲子園とは、春と夏に突如現れる夢の楽園
3月20日、第88回選抜高等学校野球大会が開幕します。「春はセンバツから」と呼ばれるとおり、いよいよ春が訪れるわけですね。行われる球場はもちろん、兵庫県西宮市にある阪神甲子園球場です。
高校時代は春夏の甲子園に出場し、プロ入り後は読売ジャイアンツのエースとして活躍した江川卓は「高校野球における甲子園は、プロ野球での甲子園とは違う、春と夏に忽然と現れる夢の楽園」と語っていました。つまり、同じ甲子園といっても、高校野球とプロ野球では全く違う球場になってしまう、というわけですね。
たしかに、高校野球での甲子園と、阪神タイガースの本拠地として使用される甲子園では、雰囲気が全然違います。器は同じでも、スタンドの観客やプレーする選手によって、全く別の球場になってしまうのです。人間が建造物を変えてしまうのですね。
もっと言えば、同じ高校野球でも春と夏とではやっぱり違います。こちらは人ではなく、季節が球場を変えてしまうのでしょうか。甲子園の魅力は一回ではとても伝えきれないので、今回は春のセンバツに絞って紹介します。
センバツは全国大会ではない!?
夏の甲子園の正式名称は「全国高等学校野球選手権大会」です。春のセンバツは前述のとおり「選抜高等学校野球大会」ですね。つまり、春には「全国」が付きません。なぜでしょうか。
夏の甲子園はご承知のとおり、各都道府県の大会を勝ち抜いて優勝した高校が甲子園に集います。それに対して春のセンバツには予選がありません。前年の秋季大会の成績を参考にして、文字通り選び抜かれた高校が甲子園に出場するのです。したがって、春のセンバツは招待大会と位置付けられるため、正式名称に「全国」が付きません。
春のセンバツにおける独自の制度として21世紀枠があります。困難な状況を克服し、立派な成績を収めた高校を特別に選び出すのです。今年は3校が選ばれましたが、中でも注目は小豆島高校(香川)ですね。
小豆島高校は過疎化した離島というハンディを背負いながら、昨秋の香川大会で優勝し、四国大会では準々決勝で惜敗したものの21世紀枠として選ばれました。部員は僅か17名、小豆島が舞台とされる小説「二十四の瞳」をもじって「三十四の瞳」と呼ばれ、甲子園での活躍が期待されます。
21世紀枠の高校は、思わぬ甲子園出場という嬉しさで地元から応援団が大挙して来るので、アルプス・スタンドは夏の甲子園にはない独特の雰囲気となります。しかし、21世紀枠といっても相手校は侮るわけにはいかず、過去に2校も準決勝に進出しています。
仕掛け花火と桜
地方大会が終わるとすぐに甲子園大会が始まる夏とは違い、春のセンバツは一冬越して久しぶりとなる公式戦です。いよいよ球春到来と、ワクワクさせられますね。
特徴的なのは開会式で、外野から全校の選手たちが一斉に内野へ向かって前進して来るとき、横一線に張られたロープから仕掛け花火が鳴り響いて、出場各校の旗が現れます。これは夏の大会にはない演出で、この瞬間いつも「春が来たなあ」と実感させられるのです。
入場行進曲が毎年違うのもセンバツの特色で、前年のヒット曲が選ばれます。今年の入場曲は西野カナの「もしも運命の人がいるのなら」です。
センバツの開会式
うだるような暑さとなる夏の甲子園と違い、春はポカポカ陽気の気持ちいい観戦となります。ただし、春は天候が不順で、突然冬のような寒さに見舞われる時があります。天気予報に注意して、防寒具や雨具は準備しておきましょう。
大会が進むうちに、季節は陽春へと向かいます。甲子園の周りにある桜も、一斉に開花します。桜を楽しめるのも春のセンバツの魅力です。
甲子園近くの桜並木
甲子園へのアクセス
甲子園へは阪神電鉄本線の梅田駅(JRの大阪駅近く)、もしくは神戸三宮駅から特急(特急料金不要)に乗って約15分、甲子園駅で下車してすぐの所にあります。また、阪神なんば線の大阪難波駅から快速急行に乗っても約20分で行くことができます。球場周辺には駐車場がないので、必ず公共交通機関を利用してください。
なお、今センバツの入場料は中央特別自由席2000円、1,3塁特別自由席1500円(子供600円)、1,3塁アルプス席600円、外野席無料。開催期間は3月20日から12日間(休養日1日を含む、雨天順延)となっています。
それでは日本野球の聖地、甲子園を存分に堪能してください!
2016年3月4日