千葉の風になって……。爽やかな空間・QVCマリンフィールド!
プロ野球が千葉にやって来た!
今やパシフィック・リーグの人気球団となった千葉ロッテ・マリーンズ。本拠地は千葉市にあるQVCマリンフィールド(正式名称は千葉マリンスタジアム)です。しかし、初めから千葉の球団だったわけではなく、千葉市に本拠地を構えたのは1992年からでした。もちろん、それ以前は千葉にプロ球団など無かったのです。
筆者などは千葉の球団というと千葉パイレーツ(※)を連想してしまうのですが、さすがに今ではそんな人はいないでしょう(笑)。
大勢のファンで賑わう千葉マリンスタジアム
※千葉パイレーツ……1977年から週刊少年ジャンプで連載されていた野球ギャグ漫画「すすめ!!パイレーツ(著:江口寿史)」に登場するプロ球団。13年中12回が最下位という超ダメ球団で、開幕戦に選手が8人しか集まらなかったことも(レギュラー三塁手は「田植えで忙しい」という理由で欠場)。親会社(?)は千葉農協。
球団移転の成功例
千葉マリンスタジアムは、マリーンズのために建てられた球場ではありません。完成したのは1990年のことで、千葉市をはじめとする第三セクターが建設しました。3万人収容、全面人工芝の、プロ野球本拠地としても指折りの立派な球場です。
もちろん、これだけの規模の球場をただ遊ばせておけば、三セク会社の赤字は膨らむばかりです。当然、球団誘致運動を行いました。白羽の矢を立てたのはロッテ球団です。
当時はロッテ・オリオンズと名乗り、神奈川県の川崎球場を本拠地としていましたが、あまりの不人気で川崎球場は常に閑古鳥、球団経営は悪化する一方でした。
そんな時、千葉市から球団誘致の話を受けました。川崎球場は両翼90m(実際はもっと狭かったらしい)で狭くて古く、一方の千葉マリンスタジアムは両翼99.5mとアメリカのメジャー・リーグ球場並みの広さを誇り、しかも出来立てピカピカでした。球団誘致はロッテ球団にとって、渡りに船だったのです。
メジャー・リーグ球場に負けない広さと、豪華な設備を誇る千葉マリンスタジアム
両者の思惑が一致し、1992年から千葉市に本拠地移転、球団名も千葉ロッテ・マリーンズと改称したのです。冠に「千葉」と付けたことで地域密着球団であることをアピールし、さらに地元ファンを獲得しようと球団経営にも力を入れました。川崎時代にはなかったことです。
そして「マリサポ」と呼ばれる、熱狂的なファンを生み出しました。単に熱狂的なだけではなく、その応援方法は独特で、他球団には見られないものです。ちなみに、マリーンズの選手には背番号26の選手がいませんが、これは選手のベンチ入り人数が25名だからで、「26人目の選手はマリサポ」という意味なのです。
マリサポで超満員となったライトスタンド
海から吹いてくる強風
QVCマリンフィールドは、海のすぐ近くにあります。そのため、海から吹いてくる風がハンパなく強い。浜風といえば阪神甲子園球場が有名ですが、それとは比べ物にならないほどの強風です。
そのため、スコアボードには風速と風向きが示されるほどです。この強風が、数々のドラマを生み出しました。風だって、QVCマリンフィールドの一部なのです。
スタンドの外からすぐ近くに見える海
また、球場の外にはマリーンズ・ミュージアムがあります。マリーンズに関する数々の展示物はもちろん、ブルペンを体験できるコーナーなどもあります。
しかも、入場無料となっているのが嬉しいですね。QVCマリンフィールドに訪れた際は、ぜひ行ってみましょう。
マリーンズ・ミュージアム
東京都心からでもアクセス抜群
関東在住のマリサポならQVCマリンフィールドへの行き方は熟知しているでしょうが、それ以外の地方の人は「千葉って東京から遠いのでは?」という印象があるかも知れません。
ところが、JRの東京駅から京葉線の快速に乗れば、約30分で最寄り駅の海浜幕張駅に着きます。そこから有料のシャトルバス(大人100円、子供50円)に乗れば約6分でQVCマリンフィールドに着いてしまいます。
また、車利用の場合は有料駐車場もあります。ただし、東京ディズニーランドに近いため渋滞を覚悟しなければならないので、公共交通機関を利用した方がいいかも知れません。
東京旅行の際は、QVCマリンフィールドも行程に入れてみませんか? マリサポの熱気が、海からの強風で舞い上がるでしょう。
2016年5月16日