若トラの成長を見よ!”タイガース・デン”阪神鳴尾浜球場

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通称「虎の穴」

日本随一の人気スポーツ・プロ野球。しかし、華やかな部分だけで成り立っている世界ではありません。一軍の晴れやかな舞台に立つためには、ほとんどの選手が通らなければならない厳しい関門があります。それが二軍(ファーム)です。

人気チームの阪神タイガースとて例外ではありません。兵庫県西宮市にある一軍の本拠地・阪神甲子園球場から南東へ約2.5kmの所に、二軍の本拠地である阪神鳴尾浜球場があります。車だとたった10分程度の距離なのに、二軍の選手にとっては甲子園まで遥かなる遠い道のりに感じるでしょう。

4万7千人の大観衆が集まる甲子園に対し、鳴尾浜は僅か1/100の約500人。二軍の選手たちは甲子園の大舞台を夢見て、日々猛練習に励んでいるのです。

若手選手が練習を行う阪神二軍の本拠地・鳴尾浜球場
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鳴尾浜球場の近くには「虎風荘」と呼ばれる合宿所と、室内練習場などが併設されています。これらを総称して「タイガース・デン(Tigers Den)」と呼ばれています。直訳すると「虎の穴」。

そう、あの昔懐かしのプロレス漫画「タイガーマスク」に登場する悪役レスラー養成機関「虎の穴」をもじっています。つまりタイガース・デンでは日々、若トラを養成しているのです。

マイナー・リーグ文化

もちろん、鳴尾浜球場は練習だけではなく、二軍の公式戦も行われています。阪神二軍はウェスタン・リーグに所属しており、優勝を目指しています。もちろん、選手個人の目標は一軍入りですが。

野球の本場アメリカでは、ファームとも言えるマイナー・リーグが盛んです。アメリカは国土が広いため、遠くで行われているメジャー・リーグよりも、地元のマイナー・リーグを観に行こうというファンがとても多いので、マイナー・リーグ文化が発達しているのです。

日本ではファーム文化があるとは言えませんが、一軍にはない楽しみもあります。中でも、ドラフト上位の新人選手を間近で見られるのが醍醐味ですね。それに、高校時代は甲子園で大活躍したヒーローも含まれています。

また、無名選手でも、未来の大スターがいるかも知れません。鳴尾浜ではまだ子供だったトラが若トラになり、甲子園でリアル・タイガーに成長する過程を見られたら、二軍観戦冥利に尽きるでしょう。

さらに、一軍のスター選手が二軍戦に登場することだってあります。不調や怪我で調整中の選手や、一軍復帰を目指すベテラン選手が若手選手に混じってプレーします。日本のファームでも、アメリカのマイナー・リーグに負けない面白さがあるのです。

有名選手がズラリと並んだ鳴尾浜球場のスコアボード。阪神のエース・能見篤史投手の名前も

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オフ・シーズンの楽しみ

ペナント・レースが終わると、野球ファンは虚脱感に襲われます。しかし鳴尾浜では、まだまだ楽しみが続くのです。なぜなら若手主体の秋季練習があるからです。

一軍に近い選手は高知県の安芸市営球場で秋季キャンプを行いますが、いわゆる「居残り組」が鳴尾浜での秋季練習に励むのです。誰もが「居残り組」になった悔しさを噛みしめつつ、来季の一軍入りを目指します。

秋季練習が行われる鳴尾浜球場
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さらに、年が明けた1月には新人合同自主トレも行われます。12月および1月中のコーチ付き合同自主トレは禁止されていますが、練習方法がわからない新人選手は例外的に認められているのです(ユニフォームは着用不可)。期待のルーキーを春季キャンプ前に見られるなんて、それだけでも楽しみですね。

しかも、スター選手が自主トレに現れることもあります。そんなシーンに遭遇できたらラッキーですね。

鳴尾浜の新人合同自主トレ。新人選手は名前と背番号入りビブスを着用
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鳴尾浜へ行こう!

どの球団でも、二軍戦は一軍戦よりも入場料が格安ですが、鳴尾浜球場は二軍公式戦であっても入場無料です(甲子園での二軍戦は有料)。アマチュアで活躍した有望選手や、時には一軍のスター選手まで見られるのに無料なんて、こんなにお得な話はありません(土日祝は満員になることが多い)。もちろん、練習を見るのも無料です。

ただし気を付けて欲しいのは、球場内が禁煙なのは当然として、なんと飲酒まで禁止されていることです。野球を見ながらビールを一杯、というわけにはいかないのでご注意を。

また、球場内に売店はありません。ソフトドリンクの自動販売機があるだけです。周りは工業団地なので、店もほとんどありません。飲食物はあらかじめ用意して行った方がいいでしょう。ただ、移動のお弁当屋さんが来ることはあります。

アクセスは、阪神本線の甲子園駅の阪神バス7番乗り場から「鳴尾浜行き」バスに乗り約10分、「県立総合体育館前」バス停で下車します。「阪神鳴尾浜球場前」バス停もあるのですが、循環バスなので却って時間がかかります(帰りは「阪神鳴尾浜球場前」バス停から乗車すると便利)。

それでは、鳴尾浜で若トラの成長を見守ってください。そして、一軍戦では味わえない魅力を楽しみましょう。

2016年5月20日

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