【滋賀・近江神宮】天地開闢。鐘鼓を鳴らして時を知らせる「漏刻祭」 後編

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女人舞楽「納曽利」

舞楽ナソリ 正面

篳篥(ひちりき)の音とともに始まった、女人舞楽「納曽利(なそり)」。「舞楽」もしくは「雅楽」という言葉自体は以前から知っており、インターネットやテレビで見たことはありましたが。女人舞楽は、今回初めて拝見しました。

なんでも女人舞楽は、「男性の芸能だとまちがって思い込まれていた」、「1300年の歴史を有する伝統芸能舞楽の世界に復活」させたもの、だそうでございます。

確かに。漏刻祭で舞楽があると事前に聞き、入場の合図とおぼしき音楽が聴こえて実際に彼女達が入場してきたのを目にするまで、演者は男性であると思い込んでおりました。

いやなんかね、ほら、歌舞伎であるとか。縛りがあるのかな、と。

でもよくよく考えれば、神楽などは白い単衣に紅い袴の巫女さんが捧げるイメージがありますし、神様のトップである天照大御神さんも女性です。だからそうですね。いくら技巧に優れているとはいえ、おっさん(失礼!)よりは、瑞々しく美しい手弱女が舞う方が、神様も喜ぶってものでしょう。祀られている天智天皇は、男性なわけですし。うん。納得しました。

舞楽ナソリ 中

なんてお馬鹿な考察をしている間にも、二人の舞人さんは時に激しく、時に優美に舞い踊ります。「納曽利」という舞は、「『双竜舞』という別名もあり、昔宮中に雄雌の青竜が降り立ち、聖寿を祝って舞い遊んださまを写したともいわれ」るものだそうでございます。

ふむぅ。鑑定眼など持たない身ながら、左側のお姉さんの方が、しっかり踊られているような……? 足さばきですとか、腰の落とし方、手の先まで神経を行き届かせた様であるとか。ひとつひとつの動作がぴしりと決まっています。後は表情ですかね。右側のお嬢さんがちょいと面映ゆそうにしているのに対し、左側のお嬢さんは、無、でございます。舞を捧げることに没頭している? そんな風に見えました。

ま、そんな風に偉そうに評するわたくしですが、少々修練を積んだところで、一指しも舞えない自信はあります。

舞楽ナソリ 終

それにしても、本当に美しい衣装ですよねぇ。舞楽の装束を生で見るのはこれが初めてです。

太陽の光を眩しく受ける黄色の着物に、百花繚乱を織り込んだような、名前の分からないベスト型の服。白と蒼い縁飾りがまるで羽のようです。出来れば真正面からも拝見したいのですが、これはなんと言っても奉納舞ですから。見せて魅せる相手は神様、天智天皇様。我ら参拝者はそのおこぼれに預かっているだけなわけです。

我儘言っちゃダメだっ!

哀調漂う、篳篥と笙の音に彩られた舞楽は、たぶん10分くらいはあったと思います。その間舞手のお二人は、右側のお嬢さんの冠がずり落ちそうになるハプニングをものともせず、淡々と華麗に舞い、静かに去って行かれました。

いや~ええもん見た。神事ゆえに拍手できないのが口惜しい。

祭事を終えて

さてさて祝詞を唱え、時計を備え、舞まで奉納し。無事漏刻祭は終わりました。「○○時計協会の皆様、お疲れさまでした」。宮司さんのその一言で、陰陽頭がただのおじさんに戻りました。

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ほうら見てごらんなさい。皆様、すっかりくつろいで記念撮影なんか始められましたよ。参拝者の皆様も、「すいませ~ん。一緒に一枚いいですか~♡」なんてやってらっしゃいます。なんだか楽しそう。

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わたしもその機に乗じて、撮影してしまいましょう。おお! 拝殿の階段の先、御神体が居られるであろう、その扉に。あれは菊の御紋ですね。

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儀式中聴こえていた楽の音は、CDだろうと思っていたのですが、もしやここで生演奏されていたのでしょうか……? でもこの色鮮やかな太鼓が鳴る様な音はしなかったし……。それにしても綺麗。描かれているのは獅子でせうか。

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この槍? と旗さし物のような布も、気になる存在でございます。やはりここは日本人の端くれとして、もう少し神事について勉強すべきですね。

漏刻と宝物館もお忘れなく

今回の近江神宮参拝は、「漏刻祭」の為ですが、どうせならば境内の余すところなく見なければ。

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内拝殿からちょいとおりればROLEXさん奉納の、なぞ置物。もちろんこれも時計の一種です。形から水時計かなと思っていましたが、「龍型火時計」の復元模型だそうで。約4,000年前の中国で使われていたものだとか。

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日時計もありましたよ! それもかなり正確なのが。目盛りにモスクワだのボンベイだのの方角が書いてあって、なんだか笑えました。

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そしてこいつ、いやさこの方。絶対に見逃しちゃいけない、「漏刻」様です。一目盛りおよそ10分。天智天皇の時代にそこまで正確な時が必要なのか疑問も残りますが、公称、これが日本最初の時計。の模型でございます。

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漏刻の本物―――ではさすがにありませんが、当時のものを再現したものは、この「時計館 宝物館」に展示してあります。

朱塗りに白壁の素敵な館。1階には漏刻の他にも和時計や櫓時計、香時計などが所狭しと展示してあります。2階の宝物館には、創建から伝わる宝物を順次入れ替え展示。舞楽の面と方相氏(珍しい6つ目!)の面は必見でございます。

しかもこの日は「時の記念日」記念として、無料で入れました。ありがたや、ありがたや。

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と言うわけで。大満足の漏刻祭と近江神宮を満喫し、天智天皇の兵どもが夢のあと、住宅街にぽつりと残された「近江大津宮錦織遺跡」を見学しつつ、淡海を後にしたわたくしでございます。

あぁ、楽しかった。

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2016年7月1日

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