【高野山】いざ、聖なる地へ!一泊二日高野山満喫の旅 6
まずは珈琲を
総本山を攻める前に、やるべき事がありました。
それは珈琲。かつてヴェネツィア大使がトルコ帝国から持ち帰り、ヨーロッパを席巻し、巡り巡って日本にも定着した、地獄のように熱く、恋のように甘く、人生のように苦い、魅惑の飲み物。
我ら姉妹、中毒と言うほどではないと思いますが、毎食後必ず飲みます。宿坊とは思えないほどサーヴィス満点であった金剛三昧院では「あのぅ、珈琲は……」「ありません」と笑顔で言い切られましたので、下界(いやここも高野さんなんですけれどね?)に降りたら一番に飲もうと思っておりました。
はぁあ、美味しい。えぇ煩悩まみれです。所詮わたしは凡夫です。この一杯がないと一日が始まらないのですよ。妹も同じく、至福の表情でカフェラテを啜っています。朝食を摂っていくらもたっていないのに、クッキーまで!
美味しい珈琲にありつけたのは、こちらのお店です。白壁が美しいですね。
総本山、金剛峯寺
珈琲で英気を養った。気合も入った。各々方、出陣じゃ!
というわけで、「金剛峯寺」です。
山門をくぐれば、いきなり巨大なシャクジョウ(?)がお出迎え。前に立つ妹は170センチ近くありますから、その大きさ、お分かり頂けますよね?
壁沿いにそっと立つ鐘楼も大きいですよ~。こちらは金剛峯寺の前身、「青巌寺」の頃からあるそうです。と言っても、火災で一度焼け落ちて再建されたものだそうですが。
この木組みに圧倒されそうです。
多くの社殿と同じく、金剛峯寺の中もほとんどが、撮影禁止です。斉藤等室の襖絵も、殺生関白秀次自刃の間も、目に焼き付けるしかありません。
写真を撮っていいのは、お庭。
国内最大級の「蟠龍庭(ばんりゅうてい)」は撮り放題。と言ってもこちらとて、目で見るほどには迫ってこないのは、わたしの撮影技術だけではないはず。ぜひ皆さん、この幽玄の美は、ご自分の目で味わってくださいませ。
こ、この紋は……!
さて。この御紋。この高野さんシリーズで随所に出てきております。金剛峯寺ではこんな風に、木戸に浮彫りされているかと思えば。
障子の持ち手の部分に透かしてあり。「由来がきっとどこかに説明されているはず……!」と境内を探し回っていくうち、ありました。
はい、こちらは金剛峯寺の寺紋でございます。豊臣秀吉拝領の青厳寺の紋「五三の桐」と、高野山の鎮守である丹生都比売(にうつひめ)神社の定紋、「三頭右巴(さんとうみぎどもえ)」。
いやぁすっきり。ようやく紋の謎が解けました。
緑茶に癒されて
しかしまぁ、このお寺、広うございます。なんと、五万坪近くあるそうですよ? さすがは総本山。
境内には先にご紹介した石の庭だけではなく、天皇上皇の応接間(格天井に総金箔押しの壁!)やら、皇室の休憩所やら。
現在でも使われている御厨がありまして、正直脚が疲れます。
お寺の皆様も、それは分かっておられるのか。見学順路を辿って行った丁度中間あたり、「新別殿」にてお茶の振る舞いを頂けます。ちなみに袋のお菓子は炭酸せんべいのような味わい。ほのかな甘さが身にしみるぜぃ。
この新別殿の壁際には、参詣者さんが奉納したと思われる曼荼羅やガラスの飾りものがさり気なく飾ってありますから、足をのばしがてら、寛ぐのもよしです。
雨に降られても
実はですね。この金剛峯寺に入る前から、雨が降りはじめまして。妹曰く「え? だって天気予報で降るっていってたじゃん」。
妹よ。降るにしても、こんな大粒の雨はないだろうよ。ほら聞いてごらん。ぼったぼったとまるで滝のような雨音じゃァないか。初高野山で浮かれていた姉は、もちろん傘なんて持って来ていないよ。
広い境内をゆっくり巡りながら、空を見上げても、やむ気配のない雨。ならば仕方がない。腹をくくりましょう。
御厨のお猿の切り絵に別れを告げて。しっかりと帽子を深くかぶり直し、雨の中次なる目的地、伽藍地区に向けて歩き出した我ら姉妹でございました。
金剛峯寺
https://www.koyasan.or.jp/
2016年9月1日