リレー徘徊31:京の庭・円山公園2〜園外編(東山区)
庭園内の滝からさらに上~桜の時期でも誰もいない静かなエリアになります。市営公園でありながら周りには大小の料亭が点在、大樹が茂り、桜が咲く、あの祗園枝垂桜周辺の喧騒がウソのような静寂な場所です。坂を登りだすと大きなモミの木、それを見て 真正面に吉水辨財天堂、さらに階段を昇れば桜の名所、また、辨財天さん手前脇の石段を右に登れば元展望台へ、小さなお稲荷さんも祀られています。
吉水辨財天堂(よしみずべんざいてんどう)
Googleマップでは「吉水大辨財天女」明記されてますが、地元では「弁天社」、「円山の弁天さん」と呼ばれている静かなたたずまいの神社です。名の「吉水」は「この地に古くより良き水の霊泉が湧いていた」ことに由来するそうです。元々インドの河神であり音楽神である辨財天さん、祇園花街の技芸上達の参拝が絶えないとか。
拝殿前には、水を入れ小さな木桶が奉納されています。
これは京都だけなのかな、市中の辨財天さんでよく見かけますね。
良き水の湧く場所…ゆえ紫陽花が綺麗ですよ。
桜の隠れ名所
辨財天さん横の階段を登ると隠れ桜名所へ。大きな桜はありませんが、色々な種類の桜を静かに愛でるにはうってつけの場所です。桜の合間から知恩院の大屋根も見え隠れ~♪ 東屋もあるので、ひと休み&お弁当に最適な場所であります。
知恩院大鐘楼
公園の最上部にある安養寺の参道を右に見て園外への道を歩くと「あっ、ココって!?」と驚くかも~NHKの大晦日「ゆく年、くる年」でよく登場する知恩院の大鐘楼の場所にひょっこりでます。このまま知恩院境内へ入り、青蓮院門跡を訪ね岡崎へ向かうのもいいかと…でも、余裕あればちょっとだけ山道をば…。
法垂窟(ほうたるのいわや)
大鐘楼から少し山を登ると法然(ほうねん:平安時代末期~鎌時代前期の浄土宗の僧/1133生~1212没)が法を説き、庵を結んだという吉水草庵跡ともいわれ場所があります。法然は「専修念仏とは、誰もがひたすら祈ることで極楽往生できる」と説いたそうです。
ここが法垂窟で…
水が湧くこの窟屋で修行をつまれたそうです。
法然と善導(ぜんどう:中国、隋の時代の僧/613年生~681年没/声を出す念仏により往生するという中国浄土教を大成したお坊さん)が夢中で対面したという言い伝えを描いた「圓光大師善導大師真葛ケ原御対面之図」の石碑のリリーフ。
古い石の階段
辨財天さんに戻って南にある石段を登ると元展望台(木々が育ちすぎて市内が見えない)へと続きます。途中の階段の造作の意匠が美しいですね。きっと明治に開園した当時、ハイカラな公園だったんでしょうね。草が覆い繁り、周囲の木立が大きくなったので何も見えない元展望台、そこにあるベンチ、開園以来、百年以上、ここに歴史あり!!ですが、このベンチ、壊れていて座れません。ほんといい公園なのに野放し放置状態、庭園部ともども整備してほしいですね。
小さなお稲荷さん
元展望台近所に小さなお稲荷様が祀られています。ここにお参りして、長楽寺、雙林寺を回り、高台寺、清水寺へ向かうのもいいかと思いますね、
石モノ
さて最後に~園内に大小「石モノ」が沢山点在しています。いつ、誰が意図してこれらの石モノを置いたのか定かではないとか…大きな寺院の礎石、賀茂川に掛かっていた橋の石材の橋脚、大きな石灯籠、手洗い石盆、石臼まで、おやって場所に置かれていますよ。
下記は、直径1m以上の江戸時代の橋脚の石柱です。
これを見るに石の橋脚って、円柱のブロックを組み合わせて作っていたんですね。
この飛び石に利用されているのも小さな橋の石橋脚かな?
石段にはめ込まれた…これは石臼ですね。
ぽつんと何気なく置かれている石の手洗い盆と大きな礎石。
元知恩院の敷地内だったので、その関係の遺構でしょうか?
うーん、これは、どこかの庭にあった井戸の石枠と灯篭のセット?
次回は、京都御苑の復元された庭をご案内します。
2016年10月6日