【大阪・十三】マンション下のムーディーイタリアン”Stella Maria”
夜をまとう店
ランチの時間に入ったというのに、小雨交じりの空模様も手伝って、その店には夜の雰囲気が濃厚に漂っている気がした。
もしかしたらそれは、道をひとつ隔てた向こうに流れる、大きな川のせいでもあるかもしれない。
まるで小説のような始め方ですが、大阪は十三にあるイタリアンレストラン、Stella Mariaについてのご紹介です。良く利用する図書館の道沿いの、マンションの地下にありまして。高々と掲げられた大きなイタリアの国旗が、いつも気になっていたのです。
で。「夜の雰囲気」につきましては、この店内写真をご覧いただけばお分かり頂けるかな、と。
白壁を柔らかく照らす、間接証明であるとか。テーブルクロスは藍色? それとも紺かな。入口側と奥の座席を仕切るパテーション代わりの大きなガラスのオブジェ? 音楽はジャズ。
ほら、とってもムーディー。
メニューも、ですね。パスタやピザを豊富にそろえたイタリアンをベースにしつつ、呑みを意識したラインナップである気がしませんか?
ペペロンチーノに桃のバター
おっと。そんな考察をしている間に、前菜の登場です。
前菜は、カリカリに焼かれたブルスケッタと、ブロッコリーにミニトマト。その色合いからゴーダチーズかと勘違いした謎の黄色い野菜。その上にふんだんにパルメザンチーズとパセリが散らされたサラダです。
うぅん、おしゃんてぃ。
おぉ! 迷って、迷って選んだメインのペペロンチーノは、唐辛子がきいていますね~。寝ぼけ気味だった身体が一気に覚醒しました。
そうそう。このお店で初めて出会ったのですが、ここには「桃のバター」なるものがありました。
食事中に失礼だろうと思いつつものノートにかりかり書きこみつつ、前菜を味わっておりましたらば。
「ペペロンチーノのパスタです」と言って、お店のマダム(ではないかもしれませんが、佇まいからそう判断)が続けて、「こちら普通のバターと桃のバターです」とさらりと言って、お皿を置いていかれました。
あ、ランチにパンも付くんだ~。と、ぼんやりパンを眺めた後。
「桃のバター!?」
思わずココット皿をとって、しげしげと眺めてしまいました。
うむぅ……香りからは桃であることは、分かりません。色は濃い卵色。見ているだけでは分かりません。実食です。あぁ。ペペロンチーノの唐辛子が舌に膨大なダメージを……。甘酸っぱさは感じられますが、先にこちらを食べるべきでしたね。
そして。さらに。実は先ほどから、前菜の黄色い野菜がなんであるのか、ずぅっと考えていたのですよ。ペペロンチーノや桃のバターを味わいつつも。
シャキシャキとした触感や黄色い色味から、こいつはにんじんじゃないのかと考えていたのですが、特有の甘みはない。むしろ梨や林檎に似ている? もしや果物だったりする?
降参してマダム風店員さんに聞くことにしました。厨房にわざわざ確認してくださったところ、コリンギという名の、ウリ科の西洋野菜だそうです。ひとつ賢くなりました。感謝。
最後まで美味しいお店
さて。ペペロンチーノで既にお腹はいっぱいにもかかわらず、桃のバターの為にパンを一枚食べて。デザートでございます。
本日のデザートはレーズンのチーズケーキと聞いておりましたが、出てきたのは洋梨のタルト。団体さんがいらっしゃいましたから、足りなくなったのでしょうか?
でもわたしはレーズンより洋梨の方が好きで、更に言えばチーズケーキよりタルトの方が好きですから、無問題。まだ舌の根にペペロンチーノのパンチが残っていますからね。珈琲で宥めてから頂きましょう。
あ、珈琲美味しい………。きちんと淹れた味がします。我が家の珈琲と同じくらい美味しい。いやこれ褒めていますよ?
グルメでは決してないわたしですが、珈琲にはそれなり以上のこだわりあり。いろいろ試した結果、いまはお気に入りをお取り寄せしています。ちなみに豆は中挽き、エチオピア・モカ・ラデュース。濃い目に淹れるのが好きです。
そんなわたしの好みに、このお店の珈琲はどんぴしゃはまりました。
もちろん洋梨のタルトもおいしい。「お皿に比べると、ちょっと小さくない?」なんて失礼な感想を見た瞬間、抱いてしまいましたが。ペペロンチーノとパンで膨らんだお腹には、丁度でした。
いやいやいや。十三にこんなお店があるとは思いませんでした。3時半までランチをやってくれているのも、かなりポイント高し。また今度。今度はお腹をたっぷり空かせてくることにします。
Stella Maria
大阪府大阪市淀川区新北野1-11-23 ハイム北野 1F
2016年10月4日