リレー徘徊39:京都御室・仁和寺・御殿の庭編2

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前回は、御殿の外回りの見所をご紹介しましたが、今回は本命である「庭」をご案内します。御殿部分は、明治20年(1887年)に消失、再建にあたって建物は明治の建築家・亀岡末吉、お庭は庭師・七代目小川治兵衛、宸殿内部の襖絵や壁は京都在住の日本画家・原在泉(はらざいせん)が、さらに昭和12年(1937年)に日本画家・福永晴帆(ふくながせいはん)が松を主題にして白書院の襖絵を、日本画家・堂本印象が黒書院の襖絵を描いたそうです。日本画に興味のある方は是非、部屋のなかもじっくりと観て下さいね。

御殿は宸殿

御殿は宸殿(しんでん)???〜なんやねんと思われた方に順を追って説明すると〜宸殿とは天皇ゆかりの建物で、高貴な方をもてなす場であり、儀式や式典に使用される御殿の中心となる建物です。宸殿は、皇室関係者が代々住職を勤めてきた門跡寺院(もんぜきじいん)特有の建物で、門跡寺院の始まりは、光孝天皇の勅願で創建し宇多天皇が入室したココ、仁和寺最初だそうです。さらにさらに御殿は、宇多法皇の御所があった辺りに建つことから「旧御室御所」とも呼ばれ、それゆえ仁和寺の御殿部分には、御所建築の様式が取り入れられているそうな。なので一般的な寺院の威厳ある建物感と違う、どこか優美で優雅な感じを受けるのであります。

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閑素な美しさ〜南庭

庭と建物の境を曖昧にし、調和を図ることで、庭と建物を一体化させようとする考え方を「庭屋一如(ていおくいちにょ)」と言うそうです。仁和寺御殿の庭は、まさしくこの考えに乗っ取った作りをしているそうで、簡素な美しさの南庭と、池泉式の風雅な北庭、そして渡廊下で区切られた壺庭を楽しむことができます。順路的にはまず南庭から観て行きます。受付をすませる進むと苔と杉のコントラストがいいなぁ〜と清々しい気持ちで歩むと…

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白い庭の向こうに宸殿が見えて来ます。

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宸殿の手前にあるのが「左近の桜」で…

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白書院すぐにあるのが「右近の橘」です。それぞれの近くに左近衛と右近衛が配陣したためこう呼ばれるようになったそうです。ちなみに近衛とは「皇居の護衛を主目的とした親兵」のことです。天皇家関係の神社仏閣建物でよく見られる左近の桜・右近の橘、立ち寄られた場所で見かけたら「ああ、天皇家に由来するんや〜」と思い出して下さいね。

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欄干の曲線と庭の直線文様がバランスがいいなぁ〜♪

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宸殿から見た仁王門と勅使門です。松の配置が風景を締めていて奇麗ですね〜♪

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宸殿から見た白書院。この建物は、御殿消後、明治23年に仮宸殿として建てられました。

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一気に変わる風景・南庭へと

宸殿の東の端を回り込むと風景が一転します。唖然となるというか、思わず「あ!」とか「わお!!」とか声を出してしまうほどの急展開な風景のチェンジが起こりますね。さすが庭師・七代目小川治兵衛!!しかり「見せる作庭」をしてはりますね!!!

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縦構図でも〜♪

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ちょっと身を建物の中に引き、景色を見てみるものいいですよ。この明暗の差も絵になりますね!

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茶室のある風景

池の向こう、五重塔とともに風景になっているのが「茶室・飛濤亭(重要文化財)」です。 江戸時代末期に光格天皇の好みで建てられた草庵風の茶席ですが非公開です。もうひとつの茶室「遼廓亭」(重要文化財)は、江戸時代の画家・尾形光琳の屋敷から移築されたものだそうです。

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右から五重塔、中門で、左の建物が「茶室・飛濤亭」です。

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池泉式の庭

北庭は、平安貴族の好んだ池を中心とした「池泉式庭園」を取り入れた庭作りがされています。寝殿作りの様相が残る宸殿と庭が作り出す風景を見て、平安時代の貴族の優雅でのんびりした生活がイメージできる場所なんですよ〜♪

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左側から眺めてみます。絵になってますね〜♪

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こんな景色のなかを平安貴族が歩いたんでしょうね〜♪

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池の向こうに見えるのは、仁和寺の院家であった喜多(北)院の本尊薬師如来坐像を安置する「霊明殿」で、明治44年(1911年)に亀岡末吉の設計で建てられたそうです。

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渡り廊下を登ると霊明殿で…

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霊明殿から北庭が一望できます。

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黒書院

花園にあった旧安井門跡の寝殿を明治42年移築したもので、設計は安田時秀だそうです。

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壷庭

小さな「壷庭」、見落としがちなんですね〜私も庭見の先生から聞くまで完璧に見落としてました。「壷庭」とは書院を繋ぐ渡廊下に囲まれるようにしてある小さな庭のことです。この「壷」って言葉、「源氏物語」に出て来ますよね〜ほら「藤壺」や「桐壺」といった女性の名前で。名の「壺」とは暮らしている部屋に隣接する庭に由来=これが壷庭で、そこに植えられた植物が彼女たちの名前になったそうです。仁和寺の御殿が、源氏物語の世界観を今に伝えているってわけです。下記の写真の隣接した女性だと「竹壷の君」かな?

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この壷庭だと「松壷の君」かな?などと…

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公開されている寝殿造の流れを汲む建築がほとんどないので、仁和寺御殿の風景、実に貴重なんですよね〜♪ 壺庭から平安時代の空気感、味わって見て下さいね。次回は、仁和寺国宝オンパレードな境内をご案内します。

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2016年12月6日

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