「冬の花園」全国高校ラグビーの舞台!東大阪市花園ラグビー場1
高校ラガーマンの聖地
毎年、年末年始になると全国高等学校ラグビーフットボール大会が行われます。会場は東大阪市花園ラグビー場で、その名のとおり大阪市の東隣りの東大阪市にあります。
全国高校ラグビーは、高校野球の「春夏の甲子園」に対して「冬の花園」と呼ばれ、高校ラガーマンにとって花園ラグビー場は憧れの場所となっています。誰もが花園を目指し、正月を花園で迎えるのが彼らの目標です。
花園ラグビー場の東側には標高642mの生駒山がそびえています。高校ラグビーの季節になると花園ラグビー場には「生駒おろし」が吹き荒れ、それが冬の風物詩となっています。
花園ラグビー場の近くにそびえる生駒山
ルーツは高校野球と同じ?
全国高校ラグビーの歴史は古く、第1回大会が行われたのは大正時代の1918年(大正7年)のことです。会場は、その3年前の1915年に夏の高校野球(当時は中等野球)の第1回大会が行われた豊中グラウンドでした。つまり、高校ラグビーのルーツは高校野球と同じだったわけです。
当時の名称も日本フートボール優勝大会で、ラグビーのみならずサッカー(現:全国高等学校サッカー選手権大会)も一緒に行われ、また中等学校だけではなく大学も参加しました。それでも、ラグビーの参加校は僅か4校だったのです。
開会式の出番を、花園ラグビー場のサブグラウンドで待つ各校の選手たち。現在は51校が参加
その後、会場を甲子園球場などに移しましたが、現在のように花園ラグビー場が会場になったのは第42回大会の1963年(昭和38年)からです。なお、花園ラグビー場が完成したのはもっと早く1929年(昭和4年)のことで、きっかけは秩父宮雍仁親王の「ここにラグビー場を造ったらどうだい」という一言でした。
そして高校ラグビーは隆盛を極め、現在では全国の地区大会を勝ち抜いた1県1代表(北海道、東京は各2校、大阪は3校)の51校が花園に集います。大学を含め4校しか集まらなかった第1回大会とは隔世の感がありますね。
花園ラグビー場に全国から51校が集った高校ラグビーの開会式
メイン会場の第1グラウンド
花園ラグビー場にはグラウンドが3面あり、全国高校ラグビーでは全てのグラウンドが使用されます。ではまず、メイン会場の第1グラウンドにご案内しましょう。
第1グラウンドでは開会式から決勝戦まで全ての日に行われ、収容人員数は約2万人を誇る、日本有数のラグビー専用場です。トップリーグでは近鉄ライナーズの本拠地であり、東京の秩父宮ラグビー場と並ぶ西の聖地と言えます。
ラグビー専用場なので見やすさは抜群で、高校ラグビーのメッカに相応しいグラウンドですね。高校ラガーマンなら、誰もがこの第1グラウンドでプレーしたいと思うでしょう。
メインスタンドには大屋根が付いており、少々の雨が降ってきても問題はありません。バックスタンドには屋根はありませんが、直射日光を浴びるので冬でも暖かさを感じます。
大屋根で覆われている第1グラウンドのメインスタンド
そして、メインスタンドにはなんとコタツ席まであります。寒い日にコタツに入ってラグビーを生観戦とは、なんて贅沢なのでしょう。コタツ席は3卓分しかないため要予約で、もちろん別料金(高校ラグビーでは4名で12,000円、大会プログラム4冊付)となっています。
コタツ席でぬくぬく観戦……のはずが、気持ち良すぎて寝ちゃった
花園の魅力は終わらない
まだ第2グラウンド、第3グラウンドが残っていますが、そちらは次回にご案内します。甲子園球場では、プロ野球の時と高校野球の時では全く雰囲気が違いますが、花園ラグビー場でも同じことが言えます。トップリーグと高校ラグビーでは、まるで別のグラウンドのようになります。
それでは、次回にお会いしましょう。
【つづく】
高校ラグビーで、花園ラグビー場の正門前広場に集まる大勢の観衆
2016年12月12日