リレー徘徊44:等持院界隈〜お庭を見る編
前回のご案内した萬年山真如寺をはじめ、超有名な金閣寺&銀閣寺、そしてこれからご案内する等持院は、室町幕府の将軍・足利氏とかかわり合いの深いお寺群です。
本題に入る前にちょっと解説をば〜金閣寺は、室町幕府第三代将軍・足利義満氏(一休さんに登場する将軍)によって造営された邸宅「北山山荘」の舎利殿が現在の「金閣寺」だそうで、彼の死後、法名「鹿苑院殿」から二字をとって「鹿苑寺(ろくおんじ)となり、これが金閣寺の正式名称になったわけです。銀閣寺は、室町幕府第八代将軍の足利義政が、祖父・足利義満の金閣寺を参考に「東山山荘」を造ったそうで、この山荘の楼閣建物が「銀閣」、なので「銀閣寺」と呼ばれる様に。正式名称は「慈照寺(じしょうじ)」です。で、今回の等持院は、足利将軍家の菩提寺で、足利尊氏の墓所となっています。
では、まず等持院創立以来、その鎮守社である六請神社からご案内します。
六請神社(ろくしょうじんじゃ)
この神社は、六所明神、衣笠岳御霊社などとも呼ばれたそうです。神社のある衣笠山周辺は古来からの葬送地で、亡くなった人の霊を守る六地蔵の信仰から「六」の字が神社の名前に加えられたそうです。等持院や萬年山真如寺の鎮守社として境内に祀られていましたが、明治元年(1868年)に明治政府によって発令された神仏分離令後に現在の場所に移ったとか。ちなみに、この地が葬送地であったことから遺骸を衣類で覆い遺体の頭に笠を被せたことに因んで「衣笠山」と呼ばれる様にもなったとも言われています。
本殿の祭神は六座で、伊勢大御神(いせのおおかみ)、石清水大神(いわしみずおおかみ)、賀茂大神(かものおおかみ)、松尾大神(まつおおおかみ)、稻荷大神(いなりおおかみ)、春日大神(かすがのおおかみ)。また、天照大神(あまてらすおおかみ)を主神としているとも言われています。
末社:力石大明神
本殿に祀られている六座が有力豪族の氏神様であるのに対して、脇にある小さな神社は地元信仰の社です。御神体に大きな石が祀られています。神社名から以前ご紹介した「リレー徘徊27 力石集積地(大和川河口域)」の力石と同じ様なものかと個人的には思いますが、神格化されているなんて、ワタシ的には初見であります。
鳥居には「天明9年(1781年)産子中」とありましたから約200年前、まず神格のあった力石がベースになって、力自慢&娯楽としての力石が広まったのかもしれませんね。全国の広まった力石の大本だったりしてね…
御利益は〜♪
この石を祈願して持ち上げられれば、安産・学力・就活等、あらゆる力を授かると伝えられ、神社で小石を授かり氏名・性別・年齢と願い事を書いて奉納すると、石を持ち上げたのと同じご利益があるとか…あ、これも「リレー徘徊25 チン電が行く〜住吉大社編:その2(大阪市)」でご紹介した「五大力尊信仰」や「大歳神社のおもかる石」と通ずるものがありますね。
等持院
足利氏の菩提寺&足利尊氏の墓所である等持院は臨済宗天龍寺派の寺院、山号は萬年山(お隣の萬年山真如寺と同じ)で、現在の方丈は、元和2年(1616年)に福島正則(安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将・大名)が、妙心寺海福院から移設、襖絵は狩野興以(かのうこうい/安土桃山時代から江戸時代の狩野派の絵師)の作でしが、明治維新や映画撮影で一部破損してしまったらしい!?
作家の水上勉氏(みずかみつとむ/小説家:大正8年/1919年〜 平成16年/2004年)は、相国寺瑞春院を13歳で逃げ出して17歳までこの寺の小坊主とし寄宿していたとか。方丈の西側に建つ「霊光殿」には、本尊の地蔵菩薩像の他、足利歴代の将軍、徳川家康の木像(42歳厄落としの為に作成)が安置されています。
方丈への通路に達磨大師の屏風が〜等持院は禅寺なんで達磨さんなんですよね。
南の庭
南北にある庭園は、夢窓疎石(むそう そせき/建治元年:1275年〜観応2年・正平6年:1351年/鎌倉時代末から南北朝時代、室町時代初期にかけての臨済宗の禅僧)作と伝えられていますが、様式的には江戸時代中頃の作かと言われています。南の方丈の庭、基本通りのこじんまりとした枯山水の庭園になっています。
北の庭
芙蓉池と称し衣笠山を借景にした池泉回遊式であり…でしたが、背景にR大の衣笠校舎が建ってしまい校舎を隠す様に樹木が生い茂っています。ちょっと残念な借景風景になっていますが、植栽と岩の配置と心字池や芙蓉池の風景とのマッチングが素晴らしいですね。縁台に座り、眺めていると飽きないですよ。特に夏から秋がおすすめです。
茶室・清漣亭
足利尊氏没年百年忌の法要の時に、足利義政が造った茶室で、ちょだけ高台にあるので、ここから眺める庭が素晴らしいです。
おまけ:喫茶軽食ひとみ
R大に通っていたO氏から教えてもらったお店で、六請神社と等持院の間にありまして、R大生御用達・超ド級サイズのオムライスが名物であります。大食いに自信あるかたは是非お試しを~次回は、堂本印象氏が奉納した石彫鳥居を観に深草・大岩山へ~
2017年2月6日