リレー徘徊49:路上芸術in宝塚〜具象作品1
抽象作品は題目と実際の造形との差異をどう解釈するかが難しく、解説がなく題名だけしかない場合、作者の真意をどう観るかで頭グルグルになりましたが、その反面、具象作品は「題目=造形」なので分かりやすいですね。ただし、人の感性による部分が大きいので「好き!」「嫌い!」が明確、私が「好き〜♪」と思っても第三者が「嫌い!!」となるわけで、そこが悩ましいところですね。ちなみに彫像作品群は、作者が男性だからなんでしょうかね、ほぼ女性がモチーフです。
唯一の男性像:小林十三氏の銅像
阪急宝塚駅前すぐ、歌劇場へ続く花の道にはタカラズカジェンヌの銅像が並んでいますが、キャラクター系なので別の機会に改めてご紹介します。
歌劇場前の遠くを見る男性の銅像、阪急電車創業のカリスマ経営者・小林十三氏です。電鉄会社をどうやったらうまく運営できるのかと考え、沿線に宅地開発を行い、娯楽施設を造り、ターミナルに百貨店を開く、日本の鉄道ビジネスの雛形を創った経営者です。この銅像の作者は「東洋のロダン」と呼ばれた彫刻家・朝倉 文夫氏(1883年生〜1964年没)です。東京の台東区にあった氏のアトリエ兼住居を美術館に改築して「朝倉彫塑館」として公開されています。
なお、お隣の池田市に小林十三氏の住宅を利用した記念館があります。この像、作者の力量なんでしょうか、それともモデル小林氏の経営者パワーなんでしょうか、すごく「目力」を感じます、ほんと「目」が活きてますね〜!!
唯一の動物像:介助犬・シンシア像
JR宝塚駅コンコースに「身体障害者補助犬法」の成立に尽力した介助犬として話題になった「シンシア」像があります。作者名は分かりませんが、「シンシア=月の女神、蟹座の守護神の意」という意味になるそうですが、私達の世代では「シンシア=南沙織さん=篠山紀信氏の奥さん=なんで篠山と突然結婚したねん!」となるんですよね。
このシンシア、宝塚市在住で車椅子生活をおくられているコンピュータプログラマーの木村佳友さんにに飼われていた介助犬で、彼が南沙織さんのファンだったので彼女の愛称にちなんでつけられたそうです。宝塚市は「すべての人にやさしいまちづくり」のシンボルとしてこの銅像を平成25年3月にココに設置しました。
唯一の裸婦像は理不尽?
手塚治虫記念館を見て宝塚大橋を渡ると掌で踊る左右二体の裸婦像があります。一糸まとわぬふくよかな裸体像です。今は街の風景の一部になっていますが、設置した当時「全裸像は、いかん!」という批判がでたそうです。
この裸婦像2体の作者は具象彫刻家・新谷琇紀(1937年~2006年)で、題名は「愛の手」。芸術は見る側の感性や視点で評価が180度変わるんですよね。あとワタシ的には「この塗装、ええんかいなぁ〜」と思いましたね。青銅製のブロンズ像に近似の色合いとしてこの色のペンキ塗ったと思うのですが、作品の持つ雰囲気や威厳がなくなってしまうのでは〜と思えるんですが? 先の小林十三像の作品本来の色合いがベターでしょう。
平和祈願は悲哀な表情
先程の裸婦像と同じ宝塚大橋上に彫刻家・淀井敏夫作の二体の彫像がありますが、市役所にも同じ作者の作品があるので、まとめて次回に紹介することにします。という事で宝塚大橋を渡って宝塚南口駅前へ。駅前広場の端っこに片手を掲げ鳩を止まらせ、もう一羽の鳩を抱き、悲しげな表情で遠くを見つめる女性像があります。
作者は、彫刻家・木内禮智作(1931年〜)、題名は「平和への祈り」。平和の尊さと危うさを知っての悲しげな表情なのかなぁ〜と思ってしまいます。台座には「四つのテスト/1:真実かどうか/2:みんな公平か/3:好意と友情を深めるか/4:みんなのためかどうか/1974年7月 寄贈 宝塚ロータリークラブ」と書かれていますが、彫像との関係ってないような? 次回も具象像をご案内します。
2017年3月3日