アスレチックと歴史、23区内でリゾート気分が味わえる、サービス精神いっぱいの公園巡り 東京都大田区
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伝説の井戸がある磐井神社
前回まで品川区の東部を歩いてきましたが、今回は大田区へと足を踏み入れます。駅で言うと、京浜急行線の大森町周辺ですね。第一京浜国道を南下すると、右手に由緒ありそうな神社がありました。
ここが、磐井神社。ネーミングからして古をイメージするなと思ったら、飛鳥時代の敏達天皇の代に創建されたと言われているらしい。江戸時代には、将軍家も参詣に訪れたのですか。肝心の「磐井神社」の名前は、社殿の地下に大きな岩磐があって、その岩磐から水が湧きでていることに由来するそうですよ。
実は今も、「磐井」と呼ばれる古井戸が残っています。神社の境内ではなく、なぜか国道の歩道のそばに…。
現在の歩道は、元は神社の敷地だったのですね。国道の拡幅によって境内が狭められたのですか。解説板には、この井戸水を飲み、心正しければ清水、心邪ならば塩水、という伝説が紹介されていました。飲んでみたいけど、しっかり蓋がしてありました。
23区内唯一の協会公認フィールドアスレチックコースがある平和の森公園
平和島口の信号で国道を左に渡り、次に向かったのは平和の森公園。
昔、ここにあった平和島運河を埋め立て造られた公園で、面積は約9万9,000平方メートル。大田区立の公園として最大の面積を誇るらしい。公園は、環状7号線をはさんで南北に広がり、芝生広場や池、テニスコート、弓道場などのスポーツ施設があります。
行った日は連休中だったので、多くの家族連れが芝生広場で遊んでいました。
釣りもできるのですか。池は広々として、気持ちよく釣りが楽しめそう。
この公園の大きな特徴として挙げられるのが、フィールドアスレチックの存在。なんと、23区内で唯一のフィールドアスレチック協会公認のフィールドアスレチックがあるのですか。
大田区の文化財や史跡を模したアスレチックで、約6500平方メートルの敷地には、40種類の遊具があるのですね。公共施設なので、利用料金が大人360円、子供100円とリーズナブルなのもうれしい。
休日なのでかなり混んでいましたが、大人も楽しそうにアスレチックをしていました。やはり、水で濡れるリスクのあるポイントはスリルが味わえそう。
私事で恐縮ですが、若い頃はフィールアスレチックで鳴らしたのですよ。すいているときに、是非チャレンジしたいと思ったのでした。
大森の海苔づくりの歴史と文化が体感できる海苔のふるさと館
平和の森公園を南に向かって歩いていくと、大森海苔のふるさと館があります。
大田区は東京湾に面していますが、この地域は江戸時代から昭和の中期まで海苔の生産が行われていたのですよ。ところが、昭和38年頃からはじまった東京湾の埋め立てによって伝統産業の終了を余儀なされたらしい。
こちらの博物館は、海苔づくりの歴史と文化を次世代に伝えることを目的として作られたのですな。ちなみに見学無料です。
正直、昔から城南地域に住んでいますが、子供の頃でも海苔の話題を聞いたことがありませんでした。今の若い人なら、なおさら海とともに暮らしていた地域の人たちをイメージできないでしょうね。
初めて目にする海苔づくりの道具や情報を興味深く見学しました。展示室の一階には、最後の海苔船「伊藤丸」が展示されています。
これはなんと、国の重要有形民俗文化財に指定されているらしい。現役で活躍していた船は迫力ありますな。
ほかにも、乾海苔作りの作業部屋・海苔付け場が再現されています。海苔を型に入れ、一枚ずつ手作りで作っていた工程がよくわかりました。
2階の展示室には、海苔の歴史・文化を紹介する「海苔の歴史と科学」「海苔つくりの一年」などのコーナーがあり、当時使っていたさまざまな道具が展示されています。
これは、海苔下駄体験コーナー。
海苔下駄を履いて振り棒で海底に穴をあけ、海苔を養殖するひびを建てるのだとか。こんな高い下駄をはいて、よく海の中を歩けるものだと思いました。
3階には展望室があり、緑がまぶしい芝生広場やふるさとの浜辺公園を見渡すことができます。
さらに屋上に登ると、東京23区にいるのを忘れるくらいダイナミックな景観が360度広がっていました。
23区で海辺のリゾート気分が味わえるふるさとの浜辺公園
大森海苔のふるさと館を出て、さきほど屋上から見たふるさとの浜辺公園に向かいます。
向かう途中、浜辺橋を渡っているとき、突然、空が暗くなってきました。この日、都心では雹が降ったらしいですね。小雨が降り、風も強くなってきたので、少し慌てました。
ただ、大田区ではそれ以上、天候が悪化しなくて良かったですけど。
大森ふるさとの浜辺公園は、都内では初の区立の海浜公園。区内を流れる内川の河口部分を埋め立てて作られ、人工海浜や人工干潟などを見ることができます。
人工砂浜は、白砂が美しい曲線を描き、突然、南国のリゾートにワープしたような感覚になりました。真夏に来れば、さらにリゾート気分が味わえるかもしれませぬ。
都内で磯遊びがしたかったらお台場が候補にあがりますが、ここでも十分、海と戯れることができそう。ただ、遊泳は禁止だそうなので念のため。
浜辺を、往年の森田健作の「おれは男だ」気分で歩いていると、さっき海苔のふるさと館で見た海苔を養殖するひびが立っていました。昔の大森海岸は、こんな景色だったのかもしれませんね。
広大な芝生広場やアスレチック広場、展望台がある屋上公園
ふるさとの浜辺公園を出て、住宅街をひたすら南下します。この辺りは、町工場や住宅が混在するザ・大田区ともいえる場所。大田区はかなり隈なく歩きましたが、この辺りは、私の人生で初めて訪れる場所です。
地図を片手にかなり歩き、次に向かったのは、森ケ崎公園。森ヶ崎公園は森ヶ崎水再生センター施設の屋上を利用して作られた公園です。
これまでも、何度か下水処理場の上に作られた公園を訪れたことがありますが、こちらも、とてもコンクリートの建物の上に作られたとは思えない広さが印象的でした。ちなみに、森ヶ崎水再生センターは、我が国で最大規模の下水処理施設なのだとか。
処理区域は、大田区の全部、品川・目黒・世田谷区の大部分、渋谷・杉並区の一部で、23区部全体の面積の約4分の1にあたるらしい。その上にできたから、こんなに広いのかと納得できました。
入り口付近にあるのが噴水広場。残念ながら水はありませんでしたが、下が水再生センターだけあって、きっと迫力ある噴水が見られるのでしょうね。
自由広場は、広大な芝生の広場。休日なのに、ほとんど人がいないのは穴場かもしれませぬ。
公園の角に展望台がありました。展望台があるということは絶景が望めるはず…と走って登ってみると、遠くに羽田空港を眺めることができました。
少し遠いですが、滑走路に並ぶ旅客機やそれらが離着陸する様子を見ることができます。
展望台の下には、運動コーナーがあり、アスレチックの遊具が並んでいました。平和の森公園でアスレチックを見たので、自分もトライしてみようかと…。
これはボルダリングですか。うぬぬ、これは難しいっす。
今度、大人用にチャレンジしてみたいと思ったのでした。
2017年6月13日