リレー徘徊５ まさに京都の映画村！太秦 蚕ノ社を歩く（映画の街編）

今回は「元糺の杜」のある秦氏ゆかりの蚕ノ社。場所は嵐電蚕ノ社駅下車すぐですが、ひとつ向こうの帷子ノ辻で降りて、大映商店街をぶら歩きしつつ広隆寺を見て向かうのががよいかと思います。さて皆さん、地名の読み、オールクリアーできました？　私、最初訪れたとき全く読めずでした。読み方は、太秦（うずまさ）、蚕ノ社（かいこのやしろ）、嵐電（らんでん）、帷子ノ辻（かたびらのつじ）、広隆寺（こうりゅうじ）です。

太秦へ

太秦は、かつてこの地に暮らしていた豪族・秦氏(はたし)にちなんだ地名で、語源は「うずたかく献上品を積んだ地」から来たと言われています。位置的にはJR京都駅から西北して、JR嵯峨野線(さがのせん・JR山陰本線)で太秦駅下車、京福電鉄・嵐山線(通称嵐電)の嵐山駅か大宮駅から帷子ノ辻駅下車のアクセスになります。

ちなみにJR京都駅構内・嵯峨野線（山陰本線）プラットホームは、新幹線のホームと真逆の北の外れにありますので、乗り継ぎ時間に余裕を持った方が無難ですね。

大映通り商店街

太秦といえば東映映画村や広隆寺が有名ですが、他にも東映京都撮影所と松竹京都撮影所など、かつては日本のハリウッドと呼ばれるほど映画の撮影スタジオがあったそうです。今はなき映画会社「大映」の名前ついた商店街には、ムービーカメラをモチーフにした街灯や看板、映画フィルムを模した舗装の道路、そして帷子ノ辻から商店街に入るといきなり「大魔人」が出迎えてくれます。

大魔人

ところで大映って映画会社、ご存知でしょうか？　大魔人という映画は？　若い方々に聞いても、よほどの映画好きでないと知らないでしょうね。大魔人は特撮時代劇で、普段は埴輪のような穏やかな顔をしてるんですが、悪代官に怒り狂って大暴れ、最後は乙女の涙で塵になって霧散するって物語の主人公です。その大魔人を作りだしたのが映画会社「大映」です。勝新太郎主演の座頭市シリーズでも有名ですね。

映画ファン必見！撮影所＆キネマキッチン

現在ある二つの撮影所、正門から中を覗けますが中に入ることはできません。外から撮影所内を見る、あ、サムライがロケバスに乗り込もうとしてる？！なんて風景に出逢えるかも。私の学友、太秦で車の免許をとったそうな。仮免の路上講習中にいきなりサムライ登場で、びっくりしたとか。そうそう松竹さんの方は裏に廻ると時代劇のセットの一部が見えますよ。

キネマキッチンは商店街の中央にあって、NPO団体が運営する映画をコンセプトにしたコミュニケーションスペース。飲食もできますが、大映関連の映画のポスターに大魔人実物大の顔のオブジェ、写真食堂の丼に社員証、台本などがあり、手にとって見ることができます。さらに無料の上映会もあるとか。詳しくはフェイスブックを見てくださいとのことでした。

スターを捜せ！三吉稲荷神社・八幡菩薩

キネマキッチンから広隆寺に向かって歩くと右手理髪店横に三吉稲荷神社(八幡大菩薩とも呼ばれる）の石の鳥居が見えて来ます。このあたりは、かって八丁薮といわれる竹薮が広がり、その薮に三吉稲荷、中里八幡の小さな祠が祀られていたそうです。

1928年（昭和3年）、いまはなき日活太秦撮影所（のちの大映京都撮影所）の建設に伴い、広大な竹薮が切払われました。そして1930年（昭和5年）、竹薮を棲みかとし行き場を失った狐や狸の慰霊のために、三吉稲荷と中里八幡を合祀してこの神社が建てられたといいます。この由縁あって、鳥居から玉垣、蝋燭台、石灯籠にいたるまで、撮影所長、監督、俳優、女優等、当時の映画関係者の名前が刻まれています。

入江たか子、大河内伝次郎、片岡千恵蔵、伴淳三郎など有名どころがずらり、スマホ片手に人物名由来を調べてみるのもいいかもしれません。

大映京都撮影所跡

三吉稲荷の前の道を南へ、現在の太秦中学校の場所に大映京都撮影所があり、ここで黒澤明監督「羅生門」が制作されたんです。今は、当時の正門にあった社名を刻んだ岩と「羅生門」ヴェネチア国際映画受賞記念碑があります。実は、中学横手マンション前にも大映京都撮影所跡地の碑があるんですが見つけられるかな？

本日のおやつ：絶妙な三吉みたらしだんご

三吉稲荷前、閉まったガラス扉の向こうに「みたらしだんご」と書かれた暖簾が見えます。休みなのかなと帰りに行ってみると、おお開店してはる～♪　見ると、丸いだんご5つ串に刺し焼く＆蜜にまぶし、更にきな粉をたっぷりとかけてくれて、1本80円！塩を効かせたきな粉と蜜、そして焦げ目のついた丸いだんごとのコンビネーションが最高！！屋号は「三吉みたらし」、開いていたら是非！！〜後編に続く〜

2016年2月25日