リレー徘徊21 京都市電痕跡を歩く
今回は、前回紹介した梅小路公園以外にある京都市内市電痕跡を訪ねてみようと思います。市内に残る市電痕跡や遺構を巡ると、京都にとっての市電は他の街のモノとは別物、扱いが違うなあぁ〜って感じを受けますね。
天皇が下洛し、首都が東京へ移ってしまい衰退していく古都。街の再興をかけて起こした産業新興数々の施策、そのひとつが琵琶湖疎水建設とセットで興した蹴上(けあげ)水力発電所、その電力を利用して誕生したのが国内初一般運用された京都市電の前身「京都電気鉄道」です。他の街のでは交通機関発展史としての市電でありますが、京都では街の発展に寄与した一種の産業新興、街の復興のシンボルのひとつ、だから扱いが違うのかもしれませんね。
市電痕跡&遺構周辺の有名各所も併せて紹介しますね。
琵琶湖疎水記念館
産業新興の要となった琵琶湖疎水。この記念館は、蹴上のインクライン終点にある京都市上下水道局の施設です。疎水の設計&測量段階から建設工事の様子、その他疎水に付随する事柄が展示されています。当然ながら国内初の電車=京都市電(ただし精密模型)も展示されています。近くには、紅葉の名所の南禅寺と永観堂禅林寺があります。
京都コンピュータ学院の保存車両
白河校校地内に保存されている静態保存車両、京都市の技術発展史を残すという意味を込め、当時道路に敷かれていた線路石材、線路、電柱、駅のプラットホームなど市電と関わりあった物が展示されているそうです。学校の裏手から見ることができます。京都市電の情報もサイトに「京都市電物語」としてアップされています。もう少し丁寧に保存してほしいなぁ〜と思いましたね。近くには紅葉で有名な真如堂があります。
堀川の痕跡
その昔、市中に「堀川」という川が流れていました。周りに染物屋が多く、色々と汚水を流して堀川はドブ川に。水流を遮断し、三面護岸の排水路と化し現在に至るでしたが、2009年の春、再び通水することになり親水空間のある川として再整備されました。
さて問題です。かって市電も堀川に鉄橋をかけ渡っていました。往時を忍ぶ路線跡のモニュメントがありますが、さてどこでしょう~? ヒント「鶴の橋」と呼ばれる石橋の近くにあります。
堀川沿線には元離宮二条城・清明神社・西陣織会館などがあります。
石塀小路
京阪祇園四条駅から八坂神社、円山公園、高台寺、三年坂、清水寺は東山観光ゴールデンコースであります。高台寺への参道「ねねの道」、この道の脇に古都情緒満載の石塀小路があります。ここ最近、ちょい有名になりましたが、以前は有名観光地にあるにもかかわらずひっそり、誰もいない超穴場でありました。
なんでここが市電と関わるねんと思われるかと。市電が廃止されるとき路面軌道にひかれていた「敷石」の処分が問題になりました。そこで市内各所の路地(京都では「ろうじ」と発音します)に敷き詰められたそうです。石塀小路にも敷かれたわけですね。
大宮交通公園
なんでも京都市電の古い車両が静態保存されていると聞きゴーカートにも乗れる大宮交通公園へ〜おお、見える見える~♪ なんか小さい市電やなぁ~とネット検索してみたら北野線を走っていたナローゲージ(狭軌)車両だって!?軽便鉄道と同じ線路幅やん!おし、もっと近くで見よう~え、火曜日は休園日だって!!がっくしであります。
大宮交通公園を南に下ると市内でも有数の規模を有する禅宗寺院「大徳寺」があります。
市電レール橋
この痕跡はレアであり、マニアックであり、鉄ちゃん度数が高いです。市電のレールが残っているんですね〜って、興味あります?(笑) 場所は京都地下鉄くいな橋駅下車、鴨川の近鉄京都線鉄橋を越えると「竹田橋」という小さな橋があります。実はこの橋の橋梁に京都市電のレールが使われています。
米国製溝付レール!?
鴨川の河川敷に降りてレールの刻印を見てみると「LORAIN STEEL CO MADE IN USA O 92 358 1930 IIIIII OH KSD」とありす。ネット検索で調べてみると米国の製鋼会社「LORAIN STEEL(ローレンスチール)」社製だそうで、最後の「KSD」とは「京都市電」の意味なんですって!!
ここから国道1号線を西へ向かうと平安遷都の際に京都の南に創建された城南宮があります。次回は、現役の路面電車の乗りたい~ということで大阪・阪堺電車へ!!
2016年7月19日