丹後半島を効率よく周遊！天橋立と舟屋の町・伊根を結ぶ「伊根航路」

京都丹後地方の「天橋立」は誰もが知っている名所ですが、最近じわりじわりと人気が出ているのが丹後半島にある伊根の街並み。国の重要伝統的建造物群保存地区（重伝建地区）に指定されている舟屋群の風景が、なんとものどかで心が落ち着きます。今回は丹後地方の2大観光地をダイレクトに結ぶ「伊根航路」を使って、渋滞の心配もない効率よい周遊観光のご紹介です。

日本三景「天橋立」飛龍観

日本三景に数えられる「天橋立」は、上から見るのがいちばんということで「天橋立ビューランド」に向かいます。京都丹後鉄道の天橋立駅から徒歩5分の位置に、「天橋立ビューランド」に向かうリフト・モノレール乗り場があります。ここからリフトなら6分、モノレールなら7分で「天橋立」が見渡せる山上に到着です。到着するとすぐに有名な「股のぞき台」があります。龍が天にのぼるような「飛龍観」と呼ばれる風景を見ることができます。

また、高さ最大8.5メートル、長さ250メートルもある「飛龍観回廊」からは、「天橋立」のパノラマ風景が見られます。「天橋立」の松林と砂浜、ジェットボートが立てる白波がとても美しく、いつまでも見ていたい眺めです。

天橋立から伊根に向かう「伊根航路」

「天橋立」の風景を十分に堪能したら、いよいよ舟屋の町「伊根」に向かいます。「天橋立」を出港した船はいきなり最初の見どころである「廻旋橋」を通過していきます。こちらの橋は昭和35年に建造された電動式の橋で、船が通る前後に90度回転します。橋を渡りたい歩行者も船が通過するまではしばらく足止め。多いときは1日に50回も回るこの「廻旋橋」を、ゆっくり進む船からじっくりご覧いただけます。

「廻旋橋」を過ぎてしばらくすると船のスピードが上がってきます。潮風が心地よく感じるオープンデッキに出てみましょう。「伊根航路」に使われる船はKAMOME6号という双胴船。白く美しい外観は遠くからでもよく目立ちます。

船内の1階部分は総ガラス張りのワイドビューソファ席とデッキ席に分かれており、お手洗いの設備もあります。2階部分は開放的なオープンデッキ。販売されているお菓子をウミネコにあげるエサやり体験もできます。高く投げればダイレクトにキャッチしてくれるかもしれません。楽しく過ごせるクルージングもわずか50分で終了。KAMOME6号が伊根湾に接岸されます。

のどかで美しい「伊根の舟屋」の街並み

伊根湾には周囲5kmに渡って約230もの舟屋があります。これだけの数の舟屋があるのは全国的にも大変珍しく、文化財保護の観点から国が重要伝統的建造物群保存地区に指定しました。保存地区に指定されているエリアは、長野県の妻籠宿に次いで2位の面積を誇ります。舟屋は古いものでは江戸時代末期に建てられたものもありますが、多くは昭和初期に建てられたものです。

のんびりとした静かな街並みをゆっくりと歩きながらまわるのもいいですが、レンタサイクルで効率よくまわるのもおすすめ。ただし写真でよく見る舟屋群の風景は海からの風景ですので、町の散策の際は建物側を見ることになります。海からの舟屋の風景を見たいという方は、「伊根湾めぐり遊覧船」が便利です。

舟屋と母屋を間近に見学

舟屋をもっとじっくり見学したいという方は、ガイドとともに歩く舟屋めぐり体験はどうでしょう。舟屋や伊根の暮らしに詳しいガイドさんが、伊根の街並みと舟屋をじっくりと案内してくれます。

舟屋はおもに車でいうところのガレージの役割ですが、中は船揚場と物置と作業場に分かれています。作業場は漁具の手入れや魚干物の置き場として使われ、2階が居住空間になっています。ガイドさんが教えてくれるお話は、伊根の暮らしがわかる貴重な情報ばかり。楽しみながら伊根の舟屋について学ぶことができます。

仕掛けてある網を引き上げると大きなかごに魚がいっぱい入っているのに驚きます。伊根で使われている漁具「もんどり」を実際に見せてくれます。また、酒蔵の見学などもできますよ。時間がある方はぜひガイドさんと伊根の町を散策してみてください。

「伊根航路」は期間限定の航路で、通年運航ではありません。平成28年度は11月6日までの土日祝日のみの運行。運行本数は「天橋立」と「伊根湾」を1日1往復のみ。「天橋立」から「伊根浦」だけでなく、「伊根浦」から「天橋立」への片道乗船も可能です。船内は食べ物・飲み物の販売はありませんので乗船前に準備が必要です。

2016年8月5日