リレー徘徊40:京都御室・仁和寺2
現在は真言宗御室派の総本山である世界遺産「仁和寺」ですが、応仁の乱(応仁元年:1467年~文明9年:1477年)で一度全山消失しています。それから約160年後の寛永11年(1634年)、徳川幕府3代将軍家光の時代にようやく再興の機会が訪れ、その後の京都御所造替時に、紫宸殿(現 金堂)、清涼殿(御影堂)など多くの建造物が移築され、正保3年(1646年)に伽藍が再建、やっと創建時の姿に戻ったそうです。
今回は、重要文化財多数&国宝のある境内を紹介するとともに、宗祖弘法大師の門跡寺院であるこの寺、裏山には四国八十八ヶ所霊場写しがあるという点にも触れていきます。
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仁王門:重要文化財
嵐電御室駅を降りると真正面に見えます。近寄るとその大きさに圧倒されます。この仁王門、平安時代からの伝統を受け継ぐ和様建築だそうです。門の左右には、阿吽仁王像、後面には唐獅子像が安置されています。
中門:重要文化財
なにげない小さな薄朱色の門ですが重要文化財なんですね。仁王門同様に木像が安置されています。仏の守護神である西方天(左側)に東方天(右側)です。
五重の塔:重要文化財
御殿の庭から見えていた五重の塔、寛永21年(1644年)建てられ、中に大日如来、無量寿如来など四方仏が安置されているそうですが、普段は観る事ができないんですね。
近づき見上げると屋根の組み方が印象的です。
初重西側には、大日如来を示す梵字の額が懸けられます。
九所明神:重要文化財
五重塔の奥にある九所明神は、境内にお祀りされている伽藍(境内の建物)を御守りする社で、社殿は三棟(本殿:八幡三神/東の左殿:賀茂上下・日吉・武答・稲荷/西の右殿/松尾・平野・小日吉・木野嶋)に計九座の明神を祀っているそうで、京都中の神さんを集めはったんやなぁ~と思いましたね。
金堂:国宝
五重塔の向かいにあるのが観音堂(重要文化財/本尊:千手観音菩薩)なんですが、平成30年の春まで修復工事中です。工事の覆い屋根を見つつまっすぐ階段を登り金堂へ。解説には「本尊である阿弥陀三尊を安置するお堂で、慶長年間造営の御所 内裏紫宸殿を寛永年間(1625~43年)に移築したものです。現存する最古の紫宸殿であり、当時の宮殿建築を伝えるの建築物として、国宝に指定されています」~ということですが、ちょっと解説。まず「内裏」とは天皇の私的区域だそうで、「紫宸殿」は、内裏で天皇元服や立太子、節会等の儀式が行われた正殿なんだそうです。
亀仙人!?
ふと屋根を見たら、おや先端に亀仙人?…と思ったら知人曰く「亀に乗った人は黄安(こうあん)仙人やでぇ〜」だそうで、なんでも前漢・武帝の時代の仙人で、3000年に一度しか水面に首を出さない3尺の亀乗ってます。彼は、その亀が5回首を出したのを見たといわれ1万5千年生きたとかで、永遠の象徴=火事で焼失しないようにとの祈りを込めているとか。また仙人が乗っている丸瓦の文様は、蓮華の上に梵字が書かれ「フリーヒ」と読み「阿弥陀如を意味する種子」なのだそうです。
経蔵:重要文化財
金堂横に立つ建物は、寛永〜正保年間の建立された経蔵で、経典や仏教に関する書物を収蔵する建物なんだそうで、内部中央には八面体の回転式書架があり、96箱、総計768の経箱が備えられているそうで、解説には「その中には天海版の一切経が収められています」って何よ?と調べたら、天海は天台宗のお坊さんで、徳川家康の側近として江戸幕府の政策に関わったそうな。
天海版の「一切経」とは、幕府の支援を受けて1648年(慶安元年)に完成したもので、1453部6323巻、665函(かん)からなるそうな。さらに「一切経」について調べると「釈迦の教説とかかわる、経・律・論の三蔵その他注釈書を含む経典の総称」なんだと。とにかく凄いものが納められている場所らしい。
鐘楼:重要文化財
鐘をつく建物ですが、これも重要文化財!!いやはや重文のオンパレード!!なるほどユネスコの世界遺産になったわけね。これで御殿が燃えていなかったら凄かったんでしょうね!!
御影堂:重要文化財
うー小さなお堂がなんで重文やねんと解説を見たら「慶長年間造営の内裏 清涼殿の一部を賜り、寛永年間に再建されたもの」〜ちょっと解説、「清涼殿」は内裏における殿舎のひとつ、先程の金堂は公的な儀式を行う「紫宸殿」を、こちらは普段居住する殿舎である「清涼殿」を移築したわけで、天皇さんちで古くなった建物をここに移して再利用したってわけですね。弘法大師像、宇多法皇像、仁和寺第2世性信親王像を安置してるそうです。
由来を知ると見る目が変わりますね~♪
水掛不動
御影堂横にあるのは「近畿三十六不動霊場の第十四番札所」のお堂で、安置された石造の不動明王に水を掛けて祈願するそうです。なんか重文でないのでホッとしますよね。やっと一般庶民の信仰の場所があったなぁ~って感じ。
お不動さんの下から泉が湧いています。
次は霊場巡拝コースへ
御室八十八ヶ所霊場
北門出てすぐに御室八十八ヶ所霊場巡拝のスタート地点です。約3キロ・約2時間のコースで前半の登りは雑木林を、後半の下りは鬱蒼とした杉林の中を歩きますので足元注意であります。御室八十八ヶ所霊場は文政10年(1827年)仁和寺29世門跡済仁法親王の御本願により四国八十八ヶ所霊場のお砂を持ち帰り、裏山に埋め、その上にお堂(札所)を建て本尊・弘法大師をお祀りしたのが始まりだそうです。年に何回か「八十八ヶ所ウォーク」なんてイベントも開催されています。
階段があったり…
土の道があったり…
ちょっとだけ鎖のある岩の道もあったりします。
成就山(じょうじゅさん:約236m)付近から見た仁和寺
登って来たお堂も見えます。
ゴールは、御室八十八個所結願所~次回は、お隣の禅宗の総本山・妙心寺をご案内します。
2016年12月19日