まさに動く鉄道博物館!大井川鐡道のSLに乗って、静岡県の川根温泉へ出発進行
北海道新幹線の開業に併せて、北斗星やカシオペア、トワイライトエキスプレスなどの寝台列車が静かに幕を下ろしました。また、各地では豪華列車が流行っており、50万円の七つ星は予約で一杯の状態です。
今回は、昭和の匂いで一杯の蒸気機関車と旧型客車に揺られて、のんびりと温泉に浸かる旅を紹介します。
Index
蒸気機関車の定期運行の先駆け「大井川鐵道」
大井川鐡道は、静岡県の金-千頭間の本線と中部電力が運営を委託されている千頭-井川間の井川線とバス路線を有する中堅の鉄道会社です。しかし、大井川鐡道は、全国的にも有名で、多分知らない人はいないのではないでしょうか。
大井川鐡道は、全国に先駆けて蒸気機関車(SL)の動態保存を行い、現在もSLによる定期運航をほぼ毎日行っているのは、大井川鐡道だけなのです。大井川鐡道のSLは、映画やドラマの撮影や旅行番組でもしばしば取り上げられるほどの人気なのです。
現在、大井川鐡道では4機のSLを定期運航していますが、昨年からアニメのトーマスSLが登場したことで、SLファンだけでなく、子どもたちにも大変人気となっています。
迫力満点のSLに感動
SLは、リニアや新幹線のように超スピードで走る乗り物ではありません。しかし、SLを近くで見ると、その迫力に圧倒されます。石炭の燃える匂いと、モクモクと煙を吐いている姿は、機械であることを忘れてしまいます。
始発・終点となる金谷駅と千頭駅では、長い時間ホームにSLが停車します。実際に運転席を見ることもでき、濛々と燃える窯の中に、石炭を込めているところや、蒸気を発生させるための水を補給しているところを見ることができます。
発車の汽笛に超感動
発車の定刻が近づいてきましたので、客車に乗り込みます。SLがけん引する客車は、旧国鉄の客車で、暖房はありますが冷房はありません。そして、今では珍しい、窓を開けることができる客車です。
SLが発車するのも、今の電車と違い、色々と儀式が必要です。運転士と補助が力を併せないと、SLは動きません。コンピューターも搭載されていませんので、全て人間が操作し確認しなければなれません。
いよいよ、出発です。「ピー」「ボー」と大きな汽笛を3回鳴らして、ゆっくりと走りだします。窓を開けていると容赦なく煙が車内に入ってきます。しかし、誰も窓を閉めようとはせず、SLの匂いに酔いしれています。
時代と逆行した非効率さでも、それ以上に景色を楽しめる
スピードと省エネを重視する今の時代からすると、SLは非効率的で時代錯誤の乗り物かもしれません。大井川鐡道のSLのスピードは、時速20キロから40キロです。郵便配達のバイクにも軽く抜かされてしまいます。しかしその分、周りの風景をゆっくりと楽しむことができます。
鉄道ファンには宝の山
大井川鐡道は、SLだけでなく、全国で活躍していた車両を引き取り、引き続き本線での定期運航に活躍しています。
近鉄ビスタカーも西武鉄道のテレビカー、南海電鉄の21000系など往年の特急も、ここでは、普通電車として余生を送っています。
そして、SLの補機として活躍しているのも、昭和10年生まれのチョコレート色の電気機関車です。
大井川鐡道は、動く鉄道博物館なのかもしれません。
SLを見ながら温泉
停車駅の家山を出発してしばらくすると、大井川を渡る鉄橋に差し掛かります。そして、鉄橋を渡り始め、進行方向右側の外に目をやると、なにやら裸族の人たちがこちらに向かって手を振っているのが目に飛び込んできました。終点の千頭に温泉があることは知っていましたが、沿線の途中に温泉があるとは。しかも、SLが鉄橋を渡るベストスポットに温泉があるのです。
川根温泉は、比較的新しい温泉ですが、良質な泉質と豊富な湯量で、静岡県では珍しい源泉かけ流し温泉になっています。ふれあいの泉は、道の駅に併設されている町営の日帰り入浴施設となっています。ここの目玉は、何と言っても、露天風呂からSLを見ることができることで、鉄道ファンならずとも何とも贅沢な温泉です。
今回は、露天風呂からSLの勇士を見ることは、できませんでしたが、ゆっくりと近鉄ビスタカーが通過する姿を見ることができました。リニアが開通すると、東京名古屋間は、45分で結ばれます。でも、たまにはゆっくりと景色を見ながら旅するのも、おつなものではないでしょうか。何か目新しい発見ができるかもしれません。
2015年10月5日