奈良県橿原市、大和三山を取り込んだ日本最古にして最大の都・藤原京!~後編
短命に終わった都
中編からの続きです。
694年に、日本初の本格的な都として誕生した藤原京でしたが、様々な問題を抱えて僅か天皇3代、たった16年でその使命を終えました。前編では、藤原京は平城京や平安京を上回る、古代日本で最大の都だったのに、なぜ知名度がないのか、と書きましたが、その理由もわかります。
平城京は74年(一時期、恭仁京や難波京に遷都したため5年間の空白期間あり)、平安京は千年以上も続いたのですから、藤原京がいかに短命だったかわかるでしょう。そのため、日本史の授業でははしょられることもあります。
しかし、この16年の間に律令国家としての基礎が出来たのだから、藤原京は太く短い首都の命だったと言えるでしょう。
僅か16年の短命に終わった藤原京(後方の山は畝傍山)
藤原宮跡を散歩
では、藤原宮跡を散歩してみましょう。現在でも奈良県橿原市には、藤原京の中心部分が残されており、だだっ広い公園となっていて、市民にとって憩いの場となっています。
最寄り駅はJR桜井線(万葉まほろば線)の畝傍駅で、徒歩約15分です。また、近鉄の大和八木駅から本数は少ないのですが橿原市コミュニティバスも出ており、橿原市藤原京資料室前バス停で下車します。大和八木駅へ大阪方面からは、大阪難波駅、大阪上本町駅、鶴橋駅から特急(特急料金必要)に乗って約30分、快速急行または急行で約35分です。また、近鉄の京都駅から特急(特急料金必要)で約50分、近鉄名古屋駅から特急(特急料金必要)で約1時間50分です。
さらに無料駐車場もあるので、車でも気軽に行くことができます。
藤原宮跡の北側、大極殿跡近くにある案内板
藤原宮跡はとにかく広いので、軽装で出掛けましょう。周りには耳成山、天香久山、畝傍山の大和三山を望むことができ、まさしく絶景です。
かつての宮殿跡らしく、至る所に柱列が並んでいます。今から1300年以上も前、この地で日本を動かす政治が行われていたことに思いを馳せるのもいいでしょう。
藤原宮跡の南側にある朝堂院南門跡
橿原市藤原京資料室
では、藤原宮跡の北の方、西隣りにある橿原市藤原京資料室に行ってみましょう。歩いてすぐに行くことができます。1階はJAで2階が資料室です。
ここにはその名の通り、藤原京に関する数々の展示物が飾られています。映像コーナーもあって、ビデオでわかりやすく藤原京の歴史を紹介しています。
藤原京を造営した女帝・持統天皇が天香久山について詠んだ歌の石碑もあります。なお、以下の写真は許可を得て掲載しています。
持統天皇が詠んだ歌の石碑(百人一首2番。万葉集にもある)
藤原京資料室の最大の売りは、なんといっても1/1000藤原京の大模型です。この模型を見れば、当時の藤原京の様子や広さを窺い知ることができます。
なお、橿原市藤原京資料室は入場無料で開館時間は9:00~17:00まで、休館日は月曜日(祝日の時は翌日)と12月27日~1月4日です。アクセスは藤原宮跡と全く同じ、無料駐車場もあります。
橿原市藤原京資料室に飾られている藤原京の1/1000模型
奈良文化財研究所・藤原宮跡資料室
では、藤原京資料室を出て、奈良文化財研究所へ行ってみましょう。藤原宮跡の南東、歩いて行くにはちょっと遠いのですが、藤原京資料室を通る橿原市コミュニティバスに乗って木之本町バス停で下車、徒歩約12分です。土日祝日だと館の前でバスが停まります。また、無料駐車場もあります。
こちらの藤原宮跡資料室はかなり広い敷地で、展示物も非常に豊富です。しかし、残念ながら展示物の写真掲載許可が下りなかったので、実際に行ってみてご覧ください。
ここは藤原京の左京六条三坊にあたり、館外には屋外展示物もあって、見応えのある内容になっています。入場無料で開館時間は9:00~16:30、休館日は年末年始および展示替え期間中です。
奈良文化財研究所・藤原宮跡資料室
四季折々の花が楽しめる藤原宮跡
以上で藤原京を巡るタイム・スリップは終了です。古代ロマンをお楽しみいただけたでしょうか。
現在の藤原宮跡は単に歴史情緒を味わうだけでなく、四季折々の花を堪能することができます。筆者が行った時は養生中のため見ることができませんでしたが、春は菜の花、夏は蓮の花、秋はコスモスなどが咲き乱れます。
みなさんも藤原宮跡へ歴史散歩、そして美しい花の観賞に出掛けてみませんか。なお、関東方面からは大和八木駅まで夜行高速バスが出ているので、そちらもご利用ください。
自然と歴史情緒に囲まれた藤原宮跡
2017年6月26日