2016年大河ドラマ主役!真田幸村ゆかりの宿坊・高野山「蓮華定院」
高野山宿坊の蓮華定院(れんげじょういん)は、関ヶ原の合戦で敗れた真田昌幸・幸村父子が身を寄せた場所。高野山で唯一、真田家の家紋使用を認められた蓮華定院は境内の随所に‘真田の香り’を感じることができます。一番最初に目に飛び込んでくるのは山門の提灯。
六文銭の家紋を見るだけで感激する歴女もたくさんいますが、せっかく高野山にお参りに来たなら山門のみを見るだけでなく、蓮華定院に実際に宿泊することをおススメします。
今回は歴女も胸キュンする寺院内部を紹介しましょう!
Index
昔ながらの宿坊は随所に真田家の香りがいっぱい!
高野山の宿坊は大きく分けて2タイプ。完全個室でトイレや浴室、テレビを備えた高級旅館のような近代的な宿坊や、蓮華定院のようにトイレや浴室は共用で部屋同士が襖で仕切られている昔ながらの宿坊があります。高野山の雰囲気を味わうには昔ながらのスタイルを貫く宿坊に泊まってみるのも風情があってよいものです。
さて、ご存じのように高野山奥の院にはいろんな戦国武将の墓所がありますが、彼ら戦国武将はそれぞれの出身地のお寺とゆかりのある高野山の寺院に対して宿坊契約(檀縁)を結び高野山にお参りする拠点を作りました。例えば北条早雲は高室(たかむろ)院、上杉謙信が清浄心(しょうじょうしん)院、武田信玄が成慶院が代表的ですが信州真田家は室町時代から蓮華定院を宿坊として使っていたようであり、同寺には宿坊契約状が残されています。
さてそれでは真田家の家紋が見える山門から境内に入って行く事にしましょう。
高野山の宿坊は山門から玄関まで広々としたお庭が広がります。蓮華定院は正面玄関に向かう途中の左側にこの建物が視界に入って来ます。
これが宿坊の中心である本堂。本堂の手前に見える枯山水のお庭にはご本尊(阿弥陀如来)の梵字(模様)が書かれています。
正面玄関。立派な玄関に「蓮華定院」の金文字が目に飛び込んで来ます。玄関に着くと奥から「てくてく」歩いてくる音が聞こえて来ます。
「ようこそお越しくださいました」と役僧の方の笑顔が宿泊者を迎えてくれます。
正面玄関の左手に目をやると、宿坊らしいまっすぐに伸びた趣のある廊下が見えます。廊下の奥から心地よい風が宿泊者の頬をかすめて通り過ぎていきます。
この廊下の突き当たりこそ、本堂になります。実はこの廊下の左右にも六文銭の家紋があちこちに施されており、どこにあるかを見つける楽しみもあるのです!
では本堂に向かって歩いてみましょう。
蓮華定院ならではの風情あるお庭を堪能しよう!
本堂に向かう前に左側に開けたお庭が目に入って来ます。真ん中に見える模様は先ほど山門から見えたもので、この模様はご住職自ら書いたものです。役僧の方に聞いてみれば、これは相当修行しないと書けないとか!
さらに歩を進めると本堂の手前、今度は右手に立派なお庭が見えてきます。このお庭こそ蓮華定院のメイン庭園。写真右側には大広間や写経場が配され、そこから窓越しに見えるこの庭園は見る者すべてに感動を与えてくれます。
蓮華定院の建物は、このメイン庭園を囲むように廊下が配されていて、廊下を歩きながら様々な角度から見られるようになっています。では、建物の内部にある他の庭園を見る事にしましょう。
この庭園は高野山特有の「高野槇」が植えられた庭園です。先ほどの庭園からは少し小ぶりの庭園ですがガラス廊下とのコントラストがすばらしい庭園です。
さらに歩を進めると今度は枯山水の庭園が見えてきました。
蓮華定院はそれぞれのお庭に面したところにお部屋がありますのでお庭を見ながらゆったりとした時間を過ごすことができます。もちろんいろんなお庭を見ながら過ごすこともできます。
それぞれの部屋には由緒ある調度品が!
筆者が案内された部屋はメイン庭園に面した2階のお部屋です。見事な襖絵に感動します。このような貴重なものが普通にあるお部屋に泊まれることこそ宿坊の醍醐味ではないでしょうか。
窓を開ければお部屋の色とは違う見事な緑が飛び込んできます。お部屋にいるだけで癒される感じがとても心地よい空間です。
なお、お部屋にある掛け軸や襖絵などの云われは遠慮なく役僧に質問してみましょう。(ここですべて書いてしまうと、行く楽しみがなくなりますので)
お見事!蓮華定院の中心的存在の本堂に潜入。
阿弥陀如来をご本尊とする蓮華定院の本堂は、萬延年間(1860年)に真田家により再建されたもの。ほかの宿坊に比べてやや小ぶりの本堂ですが、中に入ると本堂内の空気が驚くほど澄んでいて、不思議に自分が落ち着くのがわかります。心穏やかに優しく自分に微笑みかけてくれているご本尊に感謝しながら、自分の諸願を祈願してみましょう。
なお本堂では朝夕の二度、お勤めがあります。夕方のお勤めでは「数息観(すそくかん)」と呼ばれる瞑想を体験できます。ひたすらに静かな時間が流れ、薄暗い本堂で自分と向き合ってみるのも一つの楽しみです。
早朝のお勤めは朝6時から。約1時間の勤行は、宿坊に泊まった者しか味わえない素晴らしい体験となることでしょう。なお蓮華定院の法話は朝夕のお勤め時だけでなく、夕食事中にも聞けることが特色といえます。
「上段の間」で真田親子のいぶきを感じて見る。
メイン庭園に面した大広間の上座に位置するのが「上段の間」です。
この部屋こそ真田昌幸・幸村父子が滞在した部屋ですが、残念なことに江戸期に蓮華定院は焼失し現在残っている上段の間はその後に再建されたもので、実際に父子が滞在した部屋ではありませんが、再建された上段の間は焼失前と同じ位置に復元、基本的な造りは当時のままを再現しています。
しかし今もなお、昌幸・幸村父子がこの広間に滞在したことが伝わっていることと、当時と同じ部屋が再建されて現在に至っていること自体が希少なものと言えるでしょう。お寺の方から「あなたが今、座っている場所は幸村公がお座りだった」と聞けば、心踊らずにはいられません。
ちなみに上段の間は二間ほどの広さで、お殿様(父・昌幸)が使用した場所であり、息子である幸村を始めとするお供の武士たちは昌幸よりも下座(大広間)で逗留していたとのことです。
宿坊裏にたたずむ真田信之・信政公の五輪塔。
徳川家康の養女を妻とする真田信之は、関ヶ原の合戦時に西軍を支持した父・昌幸、弟・幸村とは一線を画し、家康が総大将の東軍に参加します。合戦後、徳川幕府においても沈着冷静且つ戦の際は常に先陣を切って進むという豪快さを併せ持つ英傑として知られ、家康に恐れられた存在でした。
さて、奥の院には信州真田家の墓所がありますが、その墓所の何倍も大きい規模の墓所が宿坊の裏庭にあります。この墓所こそ真田信之・信政公のものであり、鬱蒼と広がる木立の前に静かに佇んでいます。この墓所は蓮華定院の境内を経由しなければ行くことはできませんので、宿泊者以外の方が参拝する場合は受付で許可をもらう必要があります。
まとめ
蓮華定院に宿泊する目安は、2名以上の場合、1泊2食付でひとり9000~15000円。また女性ひとりの宿泊でも受け付けてくれますので、お気軽に寺院に電話してみてください。
2016年NHK大河ドラマ「真田丸」の影響でさらに宿泊者が増えることが予想されますので、宿泊予約はなるべくお早めに。
~参考サイト~
蓮華定院:http://www.shukubo.net/contents/stay/rengejoin.html
高野山観光協会:http://www.shukubo.net/
和歌山県観光情報:http://www.wakayama-kanko.or.jp/worldheritage/koyasan1200/
2015年11月30日