買い物、飲みの帰りにほっこり寛ぐ。大阪・心斎橋の隠れ家カフェ「DANKE」
大阪に「キタ」と「ミナミ」あり
あまり詳しくはありませんが、日本の首都である東京には、新宿や渋谷など、そこだけで仕事から遊びまでなんでも賄える大きな街が、いくつもありますよね。その東京ほどではありませんが、大坂には大きく分けて二つの中心街があります。JR大阪駅を中心とした「キタ」と、南海や地下鉄なんば駅を中心とした「ミナミ」です。
大坂近郊に住んではや20年になるわたしですが、仕事も遊びもキタが中心。地名で言えば心斎橋に難波といったミナミは、日本橋の電器街を訪れる時に来るくらいで、縁遠いままです。
再開発がすすんで大きな商業施設が林立しているキタと違い、ミナミの商店街やお店は背が低く、下町っぽさを漂わせる場所も多いのですが、そこは慣れていないものですから。生来の方向音痴も手伝いまして、ミナミを根城とする友人に連れられあっちにふらふらこっちにふらふら。いま自分はいったいどこを歩いているのやらと思いつつ、気がつけば足が棒。なんてことも良くあります。
そんな時、馥郁たる香りをはなつ珈琲と、罪な味のするチーズケーキを供する隠れ家のようなこの店、「DANKE」に出会ったのでございます。
珈琲はひと種類のみ
東心斎橋、ユニクロ横のビル2階にある「DANKE」の珈琲は一種類のみ。バターブレンド一択のガチンコ勝負です。いや隠れ家カフェですからね。誰と勝負するわけでもないのですが、最初に訪れたのが飲みの後だったので、そう言う気分だっただけです。
「山の中の一軒家ですよ」。そう言われてしまえばうっかり頷いてしまいそうなほどの、落ち着いた佇まい。繁華街のビルの2階にあるとは思えない木の扉と看板に見惚れていると、おっと失敬、友人に入店を促されました。
一件目の焼肉屋さんで、すっかり出来上がっていましたので。手ぶれ補正も追いつかない、ぼけぼけ写真をとりつつメニューを拝見。よく来ると言う友人は、メニューも見ずにご注文。「今日はまだアレあります?」なんて言う姿に、そこはかとない敗北感を感じるわたしです。
棚に飾られた色とりどりのカップたちにわくわくさせられながら、珈琲を待ちます。ひとつひとつ手入れしてくださる所作が、美しい。
我が珈琲は薄紫色のカップです。酔っぱらいにはもったいない、上品な器。割らないように注意いたしましょう。
絶品チーズケーキにくぎ付け
あれれ? 一軒目の焼き肉屋でしっかりデザート食べてたよね? そんな心の声はまるっと無視です。酔い覚ましの珈琲には、ケーキが必要なのです。異論はもちろん、認めません。だってねぇ。芦屋にある”Feu”という店のこだわりチーズケーキなんて聞けば、食べないわけには行かないじゃないですか。
クッキーもあったのに、チーズケーキだけで我慢したのですから、褒められても良いと思います。
うっすらレモン色のチーズケーキは、こんな朱塗りの器に鎮座して供されました。濃厚なチーズケーキにすぐ夢中になり、あっという間に食べてしまいました。が。
ケーキの前に散らされた粉砂糖と絡めてゆっくり食べればよかったと、この記事を書きながらいまも後悔しています。いつか、優雅に「味わう」なんてことが、出来るようになるのでしょうか……。
癒しの止まり木
「帰る前に珈琲を、しかも美味しいのが飲みたい」
そんな酔っ払いの我儘を叶えてくれたこのお店は、知る人ぞ知る名店のようです。わたし達が2杯目の珈琲を楽しんでいる間にも、この静かな店内にはお客さんが引きも切らずに訪れていましたから。
しかもその日は、休日。閉店が12時であり、ラストオーダーにまで間がないとマスターが申し訳なさそうに説明しているのに、「構いません」と皆さま入ってこられる。飲み明けもしくは仕事帰り、ショッピングで疲れた後、ここで一時寛いで、芳醇な珈琲を味わいたい。そんな粋な方々の、ここは止まり木なのですねぇ。きっと。
この隠れ家を紹介してくれた、我が年来の友よ。連れてきてくれて、本当にありがとう。 つぎこそはクッキーに挑戦します。
DANKE:http://dankeshinsaibashi.web.fc2.com/
Feu:http://feu-ashiya.com/
2015年12月3日