黒川温泉～日本の“ふるさと”の景観を守る温泉地の軌跡～

コラム

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2015/02/24

熊本県にある黒川温泉といえば、THE 日本の“ふるさと”の景観を残す、ひっそりとした温泉街。派手な看板、これといった観光地はありません。あるのは山と川、そして古き良き日本の田舎を感じさせる町並みのみです。
人々は癒しを求めて、静かで情緒的たたずまいを色濃く残す黒川温泉を訪れます。

さて、なぜこれほどまでに統一感のある雰囲気を黒川温泉が保てているかはご存じでしょうか？実は黒川温泉には「仕掛け人」がいるのです。今でこそ人気温泉の仲間入りを果たしている黒川温泉ですが、以前は本当に名の知られていない、文字通りの「秘湯でした。

今回はそんな黒川温泉に行く前に是非知っておいてほしい、黒川温泉の軌跡について、ご紹介します。

黒川温泉の仕掛け人は「山の宿　新明館」と「山みず木」の宿主である、「後藤哲也」氏です。「温泉地にとって最大の売り物は温泉である」という考えのもと、さびれた黒川温泉立て直しのためにまず後藤氏がしたこと。それは、金槌とノミで、今ではすっかり新明館の名物にもなっている「洞窟風呂」を掘ることでした。お客様を喜ばせたい一心で数年間かけて作った「洞窟風呂」は大盛況で、人気のなくなった黒川温泉の中でも「新明館」だけは連日満室という人気ぶりだったそうです。

しかし、「温泉地の人気を決めるのは、温泉地全体が醸し出す雰囲気と考えた後藤氏は、次に、他の旅館と一丸となって、徹底的に「日本のふるさとを黒川温泉につくること」にこだわりました。

日頃ストレスを抱えた都会の人が求めていることは、“四季の変化を感じられて、なおかつふるさとが楽しめる場所である”との思いからでした。そこで、建物の色味を統一したり、派手な看板を外したり、自然を感じることのできる露天風呂をつくったり、雑木をたくさん植えたり……　まさに黒川温泉は“考え抜かれた温泉地”なのです。

「黒川温泉一旅館」地域全体が一つの旅館。道は廊下、各旅館は部屋。

人気の秘密はまさに、このキャッチフレーズに込められていると言っても過言ではありません。

是非、こちらを訪れる際には街並みや旅館の中、温泉などは細部までお楽しみいただき、宿の人や地域の人に感想を伝えていただきたいと思います。黒川を支えているのは、そういった「お客様の感想」を何よりも大切にしている、その地域の方に他ならないのですから。

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